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森岡 英樹
2017/08/28

農水省激震 “一強”奥原事務次官の次なるターゲットとは?

異例の人事を連発 ©時事通信社

 今夏、霞が関を震撼させたのが農水省の幹部人事だった。次官候補とみられていた今井敏・林野庁長官と佐藤一雄・水産庁長官が同時に退任し、後任に共に技官出身の沖修司・林野庁次長、長谷成人・水産庁次長が昇格した。

 この一連の人事を仕切ったのは奥原正明事務次官だ。昨年6月に次官に就いた奥原氏は、「農業が産業化し、農水省が要らなくなることが理想だ」と公言して憚らない。「農水官僚の皮をかぶった経産官僚」と言われるほど敵の多い異色官僚だ。

「各部署の職員の細かい動向まで把握しており、省内ではゲシュタポと恐れられている。菅義偉官房長官の引きで次官に就き、この7月の人事でも続投が決まった。有力次官候補が退任したことで、異例の『3年次官』もあると囁かれています」(農水省関係者)

 内閣改造で、元経産官僚の斎藤健氏が農水相に抜擢されたが、一部では「奥原大臣、斎藤次官」と呼ばれている。

「事実、山本有二大臣時代、業界団体との会合で、減反に伴う稲作農家への直接支払交付金の廃止が話題となりました。山本氏は直接支払い存続に望みがあるような発言をした。しかし、その直後、奥原次官が『直接支払いはないものと思ってください』と全面否定しました」(農林関係者)

 その奥原次官が狙うのが、林業と水産業の民間開放。舞台は政府の規制改革推進会議の農業ワーキング・グループ(座長・金丸恭文フューチャー会長)だ。

「林業は、林野庁が管理する国有林の民間開放、水産業は、漁協が管理する漁業権の民間開放、とくに養殖業への企業参入が焦点です」(同前)

 農業WGが5月にまとめた答申には、林業は今年中に検討・結論を得てすみやかに措置、漁業は今年中に検討を開始し、来年に結論を得てすみやかに措置というスケジュールが明示されている。

「金丸氏と組み、菅官房長官の威光を背景にトップダウンで決着を図るのが奥原氏のやり方です。林野庁と水産庁の両長官を競わせ、どちらかを農水省初の技官出身の次官に据える可能性も取り沙汰されている」(同前)

 だが、安倍政権の支持率低下を受けて、自民党、農水省では“奥原一強”に反発の声が強まっている。

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