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連載THIS WEEK

都知事選真っ只中に転倒
谷垣幹事長の揺れる胸中

source : 週刊文春 2016年7月28日号

genre : ニュース, 政治

当選12回で議長の有資格者

 自民党の谷垣禎一幹事長(71)が7月16日の土曜日、サイクリングをしている途中に転倒して入院した。谷垣氏が自転車で転んで入院したのは2009年11月、野党総裁時代に続いて2度目だ。

 谷垣氏は無類の自転車愛好家で知られ、よくヘルメットにレーサージャージ姿の写真を撮らせて悦に入っている。71歳ながら、「ママチャリではなく、本格的なレーシングスタイルの自転車運転など、暴走族ならぬ“暴走老人”だ」(党幹部)。

 事故を受け、幹事長室が「大けがではなく、大事をとって入院した」とコメントを発表したが、「都知事選の真っ只中で、8月上旬には党役員人事が行われるだけに時期が悪い」とは自民党中堅議員だ。

 2014年に総裁経験者として初めて幹事長に就任して2年近くがたち、当初は「ポスト安倍の有力候補」との予測もあったが、最近ではその期待も湿りがち。

 なにより谷垣氏本人が周囲に「もう幹事長は退きたい」と漏らしているという。

 消費税率の10%への引き上げを2年半、再延期した時は、「再延期なら信を問え」と発言した麻生太郎副総理・財務相が「私と谷垣は全く同じ意見」と表明したことがあるように、谷垣氏は最終的には首相の意に従うものの、途中段階では必ずしも意見が一致しないことも多い。

 財務大臣を経験し、総裁時代には、三党合意で消費増税を決めた経緯もあり、財政再建は、谷垣氏の譲れぬ旗印だった。しかし、幹事長となってからは、軽減税率の範囲や、消費増税再延期など、谷垣氏の意見は無視され続けてきた。

 ただ、谷垣氏が幹事長を退けば、内閣・党の人事バランスが崩れる。党関係者は「谷垣交代なら、有力候補は岸田文雄外相、二階俊博総務会長」とみる。

「内閣では、甘利明氏の閣僚辞任で麻生、菅両氏の確執が表面化した。二階幹事長になって、発言力が増すことは、官邸は望ましくない。岸田氏は、安倍首相が力を入れるロシア外交で動きがありそうで代えづらい。結局、毒にも薬にもならない谷垣氏がベストなのです」(官邸関係者)

 周辺は「谷垣氏の意中は同じ宏池会出身の岸田氏。本人はもう総理の道はないと自覚しており、次期衆院選後に、衆院議長就任が希望ではないか」と明かす。

 谷垣氏は、七転び八起きといくかどうか。