文春オンライン

連載尾木のママで

若者たちに制服の自由を!

2016/12/01
note
 

 経済格差が広がるなか、「中学校の制服の価格が高すぎる」ことが問題になっているわね。冬服・夏服から体操着まで一式揃えると、公立校でも十万円近くかかる場合があるとか。双子とか年子がいる家庭はホントにつらい! 似たような声は昔からあったけど、「六人に一人の子どもが貧困」といわれる今日、問題がより切実になったということね。

 アンケート調査などを見ると、制服自体に反対している人は少ない。価格が高いこと、デザインや購入手段に選択肢がないことが問題なの。

 制服が高くなる主な原因は、指定業者から買うという仕組みがあるから。競争原理が働かず、価格が下がらない。例えば地域でデザインを統一し、競争入札を行うのも解決策のひとつ。大量生産すればコストも安くなるじゃない。デザインも、エンブレム付きのブレザーみたいな凝ったものではなく、シンプルで着やすいものにすればいい。「標準服は黒いパンツと白いシャツ」といった規定を決めて、購入先は自由に選べるようにすれば、ユニクロなんかでも買えて、家計も随分助かるはずよ。中古の制服をリサイクルする活動も全国に広がってほしいわね。

ADVERTISEMENT

業界1位「菅公学生服」はカジュアル服メーカーと提携
Photo:Kyodo

 もうひとつ見落としてはいけないのが、制服問題は人権問題でもあること。「女の子はスカート、男の子はパンツ」というルールの押し付けが実はLGBT(性的少数者)の子どもたちを苦しめているの。

「身体は女の子だけど、心は男子」という子は、制服のスカートをはいた途端、拒否反応から身体が動かなくなる場合も。制服のせいで不登校になってしまう子が本当に多い。「十三人に一人がLGBT」と言われるなか、これは無視できない問題よ! 女の子でもパンツを選べるとか、ジャージ登校を認めるとか、学校側も柔軟な対応をとるべき。制服にも多様性が求められる時代ね。

若者たちに制服の自由を!

X(旧Twitter)をフォローして最新記事をいち早く読もう

週刊文春をフォロー