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カジノ解禁で異例の分裂
“下駄の雪”公明党の屈辱

source : 週刊文春 2016年12月15日号

genre : ニュース, 政治

山口代表もカジノ解禁に慎重だったが…
Photo:Kyodo

 カジノ解禁法案が12月2日に衆院内閣委員会で可決され、今国会で成立する見通しだ。委員会審議わずか6時間という拙速ぶりもさることながら、与党・公明党が「自主投票」という異例の対応となった。

 カジノ法案は、大阪での公明党の宿敵・日本維新の会が積極的で自民議員らと議員立法として提出しており、今国会での成立を図っていた。公明党は支持母体である創価学会内に「ギャンブル推奨につながる法案」との抵抗もあり、慎重意見がほとんどだった。公明党関係者が嘆く。

「カジノ解禁は女性の支持が少なく、政権寄りの読売新聞や産経新聞でさえ反対の社説を掲載するなど世論の反対は根強い。ただ、自民が思いのほか維新に引っ張られて、今国会成立に前のめりになり、気付いた時には遅かった」

 結局、委員会採決で公明党委員は賛成一、反対二に分かれた。

 常に一枚岩、上意下達と思われがちな公明党だが、こうした自主投票という手段をとることはある。典型的だったのは今から約20年前の新進党党首選。当時、小沢一郎氏と羽田孜氏の一騎打ちとなった際には、新進党に所属した旧公明党議員を「自主投票」とし、双方に目配りした。

 さらに、新進党が分裂する際には、小沢氏率いる自由党、新党平和などに議員を分散させた。今回、採決で賛成に回った佐藤茂樹衆院議員はこの時、小沢氏に付き従った9人の最後の生き残りである。

 だが、今回の決定は戦略的なものではないという。

「佐藤氏が賛成した背景には、大阪3区選出という選挙区事情がある。維新が候補を立てないことで、佐藤氏ら公明議員は小選挙区で勝利できている」(同前)

 こうした地元事情に読み違いが加わって、珍しく党内の亀裂が表面化したのだ。

「佐藤氏ら賛成派は、『自民党が賛成なのに反対できるわけない。賛成でまとめると思っていた』と執行部に不満を露わにしていた。一方、井上義久幹事長や重鎮の漆原良夫氏らは、『民意に逆らって賛成すれば選挙が大変なことになる』と危惧していました。最後は、自身も慎重派の井上氏が、自主投票にした。自民党を慮って、山口那津男代表は幹部会で沈黙し、中立を守った形にしました」(同前)

 維新に傾く自民に捨てられまいと、反対を貫けなかった“下駄の雪”公明党。今後も、同じような場面が増えそうだ。

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