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新国立競技場建設 新入社員自殺でパワハラを同僚が証言

 2020年の東京オリンピック・パラリンピックの主会場となる新国立競技場の建設工事に従事していた建設会社の新入社員(当時23)が自殺した問題で、上司からの暴力や暴言などのパワハラがあった疑いのあることが「週刊文春」の取材でわかった。同じ現場で働いていた複数の元同僚が証言した。

JSCが発注し、大成建設が受注 ©共同通信社
自殺した社員が勤めていたのは地盤改良の専門業者だった ©文藝春秋

 自殺の原因を巡っては、7月に遺族が違法な長時間労働があったとして労災を申請。2016年12月には94時間、2017年1月には143時間、2月にいたっては212時間の時間外労働をしていたことが明らかになっている。元同僚たちは、自殺した社員が受けていたパワハラについて次のように証言した。

「上司である部長と職長から『死ね』、『何でできないのか』などの暴言や、胸倉をつかまれるなどの暴行を受けていました。また、工事記録に使う黒板消しは濡れると黒板が消えにくくなるのですが、職長が『服の中に入れてあっためておけ』と乱暴な口調で指示し、服の中に黒板消しを入れて乾かしていました。自殺する1カ月前、今年2月の雨の日の出来事でした」

「『作業が遅い、死ねよ』とよく暴言を吐かれていました。でも、職長も部長も、喫茶店に行くと言って現場から離れ、若手に多くの業務を任せていました。千駄ヶ谷駅から新国立競技場に出勤する際には、俯きながらフラフラの状態でした」

工事が進む新国立競技場 ©文藝春秋

 社員が勤務していた建設会社の社長は、「週刊文春」の取材に対し、次のように回答した。

「私どもの不備で、このような事態を招いたことは申し訳ないと思っています。いろいろな調査が今まさに入っているところです」

 ただ暴力や暴言の有無については、調査中を理由に回答しなかった。8月末までに、パワハラの有無等について、遺族に調査結果を伝えるという。

 新国立競技場の建設工事を巡っては、着工が1年2カ月遅れ、現場に過重な負担がかかっている。「週刊文春」8月31日発売号では、過酷な建設現場の実態を詳報している。

下村博文氏(左)と森喜朗氏(右)。無責任体制のツケが現場に ©共同通信社