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91年版『東京ラブストーリー』全話観直してわかった カンチもリカも実は全員「悪人」

2020/07/27
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 1991年に織田裕二と鈴木保奈美の共演で、最高視聴率32%超え(最終回)を記録した月9のトレンディドラマ『東京ラブストーリー』(フジテレビ系)。リメイク版が今年インターネットドラマとして公開されるほど人気は根強い。

織田裕二と鈴木保奈美の再共演

 また、織田裕二と鈴木保奈美の再共演で話題となっている『SUITS/スーツ2』(フジテレビ系)が、新型コロナウイルス感染拡大の影響により第2話までしか放送されていなかったが、7月27日に第3話から放送が再開される。『スーツ2』は弁護士ドラマだが、2人の掛け合いを見ているとどうしても『東ラブ』を思い出してしまう。

 現在、『東京ラブストーリー』はフジテレビ公式動画配信サービス「FOD」や、「Amazonプライム・ビデオ」で視聴できる。小学生時代にリアルタイムで視聴しており、その後も再放送で観た経験のある恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラーの筆者が、これを機に改めて全話を一気に観直してみた。

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「東京ラブストーリー」(Amazonプライム・ビデオより)

 誤解を恐れずに、改めて観て感じたことを一言に集約すると、こうなる。

「登場人物、全員悪人」。

 コレだ。

悪女・さとみ以外の3人もヤバい

 愛媛の地元から上京して就職した永尾完治(織田裕二)と、その会社で出会う同い年で帰国子女の同僚・赤名リカ(鈴木保奈美)。永尾を気に入ったリカは彼を「カンチ」と呼び、すぐ恋に落ちていく。一方、カンチが高校時代から密かに片思いしていた同郷の関口さとみ(有森也実)と、カンチとは小・中・高と一緒だった親友でチャラ男の三上健一(江口洋介)も一時はカップルに。

 この4人が恋愛論的な意味で全員「悪人」に見えるのだ。まぁともかく、今見るとヤバい4人なのである。ただ、ここは勘違いしないでもらいたいのだが、決して『東ラブ』をディスろうなんて意図はない。むしろ今観てもグイグイ引き込まれるドラマで、バブリーな時代背景とも相まって昨今のドラマにはない勢いと華があった。

カンチ役の織田裕二 ©文藝春秋

 登場人物はどこにでもいる若者たちだから感情移入しやすく、ちょっとオシャレでバブリーな彼らのライフスタイルには絶妙に憧れる。僕も・私もこんなドラマティックな恋がしたい! と、いてもたってもいられなくなる視聴者を巻き込む“パワー”は今観ても健在。女の子たちの前髪がトサカのようになっているのも気にならないほどで、平均視聴率22%超えは伊達じゃない。

 だがしかし、メインキャストそれぞれが「悪人」であるというファクターこそが、視聴者を巻き込んでいく“パワー”の源泉だということにも気付かされた。