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連載クローズアップ

『奥田民生になりたいボーイ〜』も話題! コラムニスト・渋谷直角の人気の秘密は?

クローズアップ

©渋谷直角

 妻夫木聡&水原希子主演、大根仁監督のラブコメ映画として注目の集まる『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』(9月16日公開)。主人公のライフスタイル誌編集者は、原作者である渋谷直角さん本人がモデルと噂される。マガジンハウスでライターとしてデビュー後、サブカル系男女を描いたストーリー漫画も発表し、漫画家としても人気を誇る渋谷さんは、「SPA!」「CREA」「GINZA」「ケトル」はじめ雑誌とウェブ合わせて10媒体に連載を持つ売れっ子コラムニストでもある。

「努めてゆる~い、軽~いコラムを書いています。世相を斬ったりアカデミックな論考はせず、こいつ何言ってんだ? って笑ってもらえる“くだらなさ”を心がけて。今ってそういうスタンスの同世代、特に男性が少ないみたいで、そのニッチな席に僕が座っているということなのかも」

 新刊エッセイの目次を見ると「とても」「まみむめも」「クロワッサン」など44本のタイトルが並ぶ。「とても」の文字の丸みボディをいつくしみ、ひらがなの中でもっとも面倒な連中は「まみむめも」と断じ、パンくずが飛び散っても気にしない「クロワッサン」のポジティブさをもっと見習うべきだと訴える……。バカバカしくて笑える文章が綴られ、添えられた自筆の絵も可笑しさを後押し。

「ある物を違った視点で見ると、しみじみ感じ入ることができる、という、僕なりの“もののあわれ”的なものを書こうと。『CREA(女性ライフスタイル誌)』の連載3年分をもとにしているんですが、毎月ネタを探し続けるうちに、自動販売機の横のゴミ箱から丸まった靴下まで、何もかもかわいく、愛おしく見えてきて、目の前にみずみずしい新しい世界がひらけていきました(笑)。最近では税金もかわいいかもと思い始めて、危険な状態です(笑)」

 税金まで!? でも読んでいると、何事も面白がり、楽しむ精神が伝わってくる。

「ある種、自己啓発本の代わりになるような、変で優しい世界観で。少なくとも僕はけっこうヘコんだ時とか、読むと元気になれます。みなさんはどうだろうなぁ。決して、ためになる情報が載っているわけではないけど、こういうバカらしいことも良しとする出版界であってほしくて。でもあんまりやる人が少ないから、“王子さま”を名乗り俺が背負うぞ、と……」

 カバーには仕掛けがあり、帯の部分を開くと、本編に登場する何十もの「かわいいものたち」がパレードする絵が。

「王子が持つ指揮棒はコラムを生み出す魔法のステッキで、ひっどい内容のコラムをバラバラ~と生み出しながら、そいつらと一緒に練り歩いているんです。他にも仕掛けがあるので、見てみてほしい」

しぶやちょっかく/1975年、東京都生まれ。1990年代にマガジンハウスで雑誌のライターをしながら、漫画も描き始める。映画公開に合わせ50ページ以上加筆した『奥田民生になりたいボーイ 出会う男すべて狂わせるガール 完全版』(扶桑社)刊行。9月に宝島社から新作漫画も刊行予定。

コラムの王子さま(42さい)

渋谷 直角(著)

文藝春秋
2017年8月30日 発売

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