昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

連載THIS WEEK

横田 増生
2017/09/04

佐川急便、過酷すぎるサービス残業の実態 

労働環境を改善できるか(佐川急便HPより)

「本社の指示で、8月初旬からドライバーが昼の休憩時間を取れているのか調査を始めました。今月中に終えるようにとのことでした」

 こう明かすのは佐川急便の社員だ。宅配便業界では、首位のヤマト運輸が、神奈川県の支店で未払い残業が発覚。全国に調査を拡大した結果、大幅減益に追い込まれた。

 業界2位の佐川でも、都内などの営業所で始めた調査がついに全国に広がった形だ。だが、対象期間はヤマトが過去2年なのに対し、運転日報が残っている1年だけ。

 佐川の社員に話を聞くと、サービス残業の実態は、昼の休憩だけでは済まないほど深刻だ。首都圏のドライバーA氏が語る。

「今年5月前後からサービス残業規制が厳しくなりましたが、それまでは家に帰るのは日付が変わってから。晩飯を食べ、お風呂に入るのが午前2時。そのまま眠りお湯が冷たくなる5時ぐらいに目が覚めて会社に行っていました」

 昼食をとれることはなく、朝は6時過ぎに出社して午前0時すぎに退社。月間の残業時間の上限を超えると、サービス残業となり、月間では140時間超に及んだ。

 しかし、上司との面談で聞かれたのは、昼の休憩についてのみ。タバコを吸うことやトイレの時間があることを理由に、1日30分強の休憩をとっていたことにされた。朝と夜のサービス残業については一切触れられなかった。

 中部地方で、10年以上働くドライバーB氏が、調査を受けたのは5月のこと。過去2年のサービス残業が約1500時間あることを告げると、調査担当者はこう答えた。

「当社としては、過去3カ月分だけしか払えない。それぐらいしか余裕がない」

 結果、提示されたサービス残業は3カ月で10時間。「冗談じゃない」とその話を断ると、「納得してもらえないのなら、民事裁判を起こしてもらうしかない」と言われたという。

 佐川急便はこう回答した。

「(全国)調査を実施しております。未払いがあったと認められれば(1年を超えても)適正に支払います」

 佐川急便を傘下に持つSGホールディングスは、株式上場を申請し、東証で審査中だ。上場前に、佐川は膿を出し切れるのか。

文春オンラインでは、ジャーナリストの横田増生氏とともに、継続して日本の物流の「いま」、日本企業の「働き方改革」を取材します。読者の皆様からの情報をお待ちしております。

情報提供する

はてなブックマークに追加