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連載近田春夫の考えるヒット

近田 春夫
2017/09/06

UNISON SQUARE GARDENのベースの動きがたまらない!――近田春夫の考えるヒット

10% roll, 10% romance(UNISON SQUARE GARDEN)/Family Song(星野源)

絵=安斎肇

 ここ50年……。

 我が国のロックバンドに於いて何が変わったかについて、ひとつ思うに、その演奏技術の眼を見張るばかりな精度の上がりよう、てぇのはあるかもしれない。

 今時、そんじょそこらのアマチュアですら、ひょっとしたら俺らの子供の頃のプロ奏者より――少なくともタイミングというパラメータなど――もうはるかにレベルは上な気もする。みんな若い子たち機械みたいじゃないですか! いやいや、まじめな話……。

 今週とりあげることとなったバンド、UNISON SQUARE GARDENのCDも、聴いていると実に緻密なプレイを披露してくれていて、これにはまこと本当に驚かされる。

10% roll, 10% romance/UNISON SQUARE GARDEN(TOY’S FACTORY)シングル11枚目。TVアニメ『ボールルームへようこそ』主題歌。

 さてその『10% roll, 10% romance』だが、いっとき耳にすることも多かった彼等のヒット曲『シュガーソングとビターステップ』にも共通する印象を持った、アップテンポの楽曲だ。

 試しに検索をしてみるとショートバージョンなる動画があったので、早速観てみると、出音と演奏する手許や身体の動きのシンクロ具合のあまりの見事さに、この絵、一瞬ライブ一発撮りなのかと勘違いしそうになった。が、ダビングなしでスリーピースにこのサウンドは物理的に無理、おそらくはレコーディングされた音源に当て振りした姿を合わせて作られたと思われる。

 そんな映像を観ているうち、では実際ステージは一体どんな感じで音を出しているのだろうか? 気になってきたので調べていくと、幸いにそうした記録も数本(流石にこの新曲のはありませんでした)アップされているようなのでチェック! を始めた……。

 するとなるほど。この人たちの演奏者としての身体能力の大変高いこともよくわかったし、またライブと録音物の関係性についてもキッチリとバンドとして整理されていることも、画面から伝わって来る。

 それにしてもこのバンド。ベースの人の動きがたまらないのよ。先のショートバージョンでも、複雑な運指にもかかわらず、何とも激しくかつきめの細かいアクションのオンパレードに、ついつい、目がいってしまって困った、とかなんとかいいつつ……。

 ふとクレジットに眼をやって驚いた! てっきりこの曲、ボーカルの人が作詞作曲したものと思い込んでいたが実は田淵智也、すなわち俺が、動きがたまらない! といっていたベースの人の作品だったのだ。これも断言するがjpopのロックで、このようにフロントマンではない人のペンになる詞曲がシングルというのは、相当に稀なことといっていい。それも含めとにかく田淵智也。この人の名前は忘れないようにせねば。只者ではない気がするのである。

Family Song/星野源(SPEEDSTAR RECORDS)大ヒット曲『恋』以来10カ月ぶりのシングル。ドラマ『過保護のカホコ』主題歌。

 星野源。

 60~70年代ソウルミュージックを意識した作りとのことだが、世代が違うせいか、そのあたりのニュアンスは俺にはイマイチ伝わってこなかったかもしんないなぁ……。

今週の思索「現代ではさ、殺人犯の子どもだからって、親の咎まで背負うということはないよね。それで夏の戦争特集を見ていて思うところがあったのだけれど、親の世代のやったことを、いつまで子どもの世代が背負わなければならないのかねぇ。正直、関係ないじゃん?」と近田春夫氏。「少なくとも、こういったことを気楽に話せるような環境になって欲しいね」

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