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ママ・妻・女房をめぐる最近の「政治学」

「週刊文春」9月7日号 最新レビュー

2017/09/02
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蓮舫の金子恵美批判は「超保守」的?

 対談の中で猪熊は、マタハラや育休への批判をしているのは女性が多く、たとえばテレビ番組で保育園での死亡事故の話をすると、「預けるのが間違っている」「女性が働くのが悪い」といったFAXが寄せられ、その多くは50代以上の女性であったと紹介する。

 すると金子は世代だけの問題ではないと返す。実際、先に公開された文春オンラインのインタビューでは、野田聖子から「金子さんを子育て世代の代表として応援できる世の中であってほしい」と励まされたのが心強かったと言う。(注2)

 一方で蓮舫からは「公私混同の感覚が絶対的に欠如している」との誹りを受けている。これは蓮舫が自身のFacebookで展開したもので、そこには「議員会館にある保育園。ならば、会館まで自力で行き、そこから公用車で総務省に出勤すれば済む話」ともある。なんだか上述のFAXと同類に思える。今回の対談での猪熊の言葉を借りれば、「超保守」と言えようか。

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野田聖子議員と橋本聖子議員(後姿)©石川啓次/文藝春秋

身をもって社会問題を顕在化させる政治家

 国会議員に産休制度が出来たのは2000年のこと。橋本聖子の出産がきっかけであった。その際、制度導入に一役買ったのが園田天光光(1919-2015)である。文字通りキラキラした名前であるが、この人物こそ女性国会議員の第一号であり、2000年の時点で国会議員在任中に出産した唯一の女性でもあった。

園田天光光 ©白澤正/文藝春秋

 以降、野田や小渕優子、そして金子らが産休を取ることになる。

 金子の妊娠に際しては、夫であり当時国会議員であった宮崎謙介が育休を取ると宣言。これは男性の育休の導入・取得が進まない現状を変えたいとの思いからだったという。その後、自宅に女性を連れ込んだところを文春が激写し、宮崎は議員辞職することになるのだが。

 そんな風にして、文春に新潮にと週刊誌づく金子だが、身をもって社会問題を顕在化して世間に問うていく、まさに時代の政治家なのかもしれない。