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浅田次郎×内田恭子 知られざるホースオーナーの世界(2)「馬主には、旦那精神が必要なんです」

実践篇

#1 魅力篇より続く)

毎週のように競馬場に通い続ける浅田次郎氏は、馬主になって気持ちが変わったという。損得勘定をこえて競馬が教えてくれたものについて、内田恭子さんが聞いた。

あさだじろう 昭和26年生まれ。平成9年、『鉄道員』で直木賞を受賞。『壬生義士伝』『終わらざる夏』など作風は幅広い。個人馬主としてこれまで約30頭所有

内田 前回は浅田先生に馬主の魅力に関してうかがいました。今回はより具体的にお聞きしたいと思います。先生はどんな考えで馬を選ばれているのでしょうか。

浅田 どの馬主さんにも、それぞれに蓄積された知見があるとは思いますが、私はやはり馬の血統を重視しています。競馬のレースには芝・ダートの2種類のコースと、様々な距離があります。どの血統がどのレースに強いのか、自分なりに考えて選んでいます。

内田 たとえば私でも聞いたことがあるレースでいえば、ダービーに強い馬、とかでしょうか。

浅田 ダービーを目指す馬は、私の投資金額と規模が違います。ダービーを勝ちに行くような血統の馬はとても高いので、私にはちょっと買えません。でもダービーは無理でも、他のGIレースに自分の馬を並べてみたいとは思います。あくまでも並べて、ね。出走させてみたいなと。

内田 馬を購入される際は、実際に見て選ばれるのでしょうか。

浅田 10年ほど前までは馬のセリに行って買っていました。私は馬券を買うときもパドック党で、馬を見るのが好きなんです。セリでも馬の体型や筋肉の付き方を実際に自分の目で確かめて、これはいいな、いやこれはちょっととか言いながら、値段と血統を照らし合わせながら判断していました。でも最近は本業の小説家のほうが忙しくて、調教師さん任せになっています。来年こそは北海道のセリや生産牧場に足を運びたいと、この時期になるといつも思っています。

内田 資料を拝見していると、調教師の小桧山(悟)さんに多くの所有馬を預けています。もともとお知り合いだったのですか。

日本ダービーには、毎年10万人以上の大観衆が集まる

浅田 20年くらい前、アメリカのブリーダーズカップという大レースを見に行ったことがあって、そのとき偶然小桧山先生と同じホテルになりまして。「一緒にダービーを狙いましょう」なんて盛り上がって、2人とも若かったんですね(笑)。それがご縁となって、今日まで続いています。小桧山先生の他に、今は藤原(辰雄)厩舎にも預けています。

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