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連載今夜も劇場へ

結城 雅秀
2017/09/08

KERAとチェーホフの邂逅『ワーニャ伯父さん』――今夜も劇場へ

 人間の性格を深く洞察して、描写したチェーホフの『ワーニャ伯父さん』をケラリーノ・サンドロヴィッチが台本製作し、演出した。退職した教授が若くて華やかな後妻エレーナ(宮沢りえ)をともなって、前妻の田舎屋敷に引っ越すと、そこに住む前妻の兄ワーニャ(段田安則)や田舎医師アーストロフ(横田栄司)らとの間でエレーナを巡って葛藤と絶望が生じる。

 前妻の娘ソーニャ(黒木華)も医師を好きになるが恋は実らず。最後の場面で、ワーニャを慰めるソーニャに、美しく崇高なものを感じた。

 閉塞感に満ち溢れた作品なのだが、ケラはこれをすっきりと起承転結にまとめ上げた。天井まで届く幕と、恋の不安を象徴するように投影される人物の影が印象的で、その間、ギター演奏(伏見蛍)が情念を高めている。

 次回の『桜の園』で完結とのことだが、『イワーノフ』も観たい作品だ。

INFORMATION

シス・カンパニー『ワーニャ伯父さん』
アントン・チェーホフ作、ケラリーノ・サンドロヴィッチ台本・演出
~9月26日 東京・新国立劇場小劇場にて公演中
http://www.siscompany.com/ojisan/

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