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連載THIS WEEK

県議選もオール沖縄に追い風
翁長知事の知られざる憂鬱

source : 週刊文春 2016年6月9日号

genre : ニュース, 政治

翁長与党の過半数維持が目標
Photo:Kyodo

 5月27日、沖縄県の県議選が告示された。

「元米兵が逮捕された女性死体遺棄事件で反基地の機運が高まり、翁長雄志知事(65)の県政与党への追い風が吹くと見られています」(地元記者)

 事件発生を受けて、翁長氏は23日に首相官邸に乗り込み、安倍首相にオバマ氏との面会を迫った。一方、沖縄県議会では野党の自民党と「在沖米海兵隊の撤退」を初めて盛り込んだ抗議決議案を巡って対立したが、与党が押し切る形で26日の臨時本会議で可決。公明党は賛成に回り、自民党は退席した。

「当初は26日の予定だった日米首脳会談は沖縄の県民感情を考慮し、オバマ氏の到着直後に変更された」(同前)

 参院選公示直前の6月19日には数万人規模の抗議集会が那覇市で予定されている。菅義偉官房長官がぶち上げたユニバーサル・スタジオ・ジャパンの誘致も頓挫するなど安倍政権の沖縄振興策も裏目に出ているだけに、翁長氏は基地と経済の両面から対決姿勢を打ち出す構えだ。

 一見、順風満帆の翁長氏だが、実は大きなジレンマを抱えている。

「翁長氏の県政運営は共産党と社民党など既存の革新勢力に支えられており、フリーハンドが取りにくい状況が続いています。また、古巣の自民党は議会で、翁長氏が知事選で支援を受けた沖縄財界関係者を県要職や関連団体のトップに据えた露骨な論功行賞人事に対する不正追及を強めている。県議選の結果次第では守勢に立たされることになります。翁長氏としては子飼いの県議がほしい。そこで那覇市長時代に共に自民党を離れた2人の前市議を、那覇市・南部離島区から立候補させたのです」(地元政界関係者)

 同選挙区は定員11人のところに18人が立候補。自民党は現職1人と新人3人を立て、翁長側近の2人と保守票を奪い合う。また、共産党も現職2人を抱えており、結果次第では、「オール沖縄」にしこりを残しかねない。

「参院選では、自民党の島尻安伊子沖縄担当相の対抗馬として元宜野湾市長の伊波洋一氏が立候補する。自民系現職に敗れた1月の宜野湾市長選の前後から翁長氏サイドには、伊波氏を降ろし、もっとフレッシュな候補に差し替えようという声は根強くあったが、結局、革新系との共闘維持を優先した」(同前)

 オール沖縄が勝っても、逆に主導権が低下しかねない皮肉な状況。知事の試練は続く。