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馬鹿で、単細胞で、小説のことばかり考えてる。それが幸せ――村田沙耶香(2)

話題の作家に瀧井朝世さんが90分間みっちりインタビュー 「作家と90分」

2016/10/02

genre : エンタメ, 読書

読者からの質問

●コンビニの常連客になにか特別なことをしたことはありますか? また、バイト中に手紙を渡されたり、告白をされたりした経験はありますか?(30代男性)

村田 店員である私サイドからお客さまに、何か特別なことをしたことはないと思います。手紙などについては、お店の場所や雰囲気にもよりますが、(特に年齢の若い)女性店員の多くが経験しているように思います。

●睡魔との格闘は、どう対策を練っていますか?(40代女性)

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村田 急ぎの原稿があるときには、10分か15分、お布団ではないところで仮眠をとるようにしています。

●芥川賞、受賞おめでとうございます。受賞される前と受賞された以降で、何か変化がありましたか? 特に、執筆されている際の心持ちや気を配る箇所など、変化があればどのように変わったのか教えて頂きたいです。(20代女性)

村田 ありがとうございます。一時的に忙しくはなっていますが、根本的には何も変わっていないです。いつも通りに書き続けています。

●アルバイトはコンビニじゃないとダメなんですか? コンビニ以外で働いてみたいバイト先はありますか。(30代女性)

村田 コンビニエンスストアの仕事が好きなので、今はこの仕事に落ち着いています。昔は宅配便の仕分けの仕事に憧れていました(でも、体力的に難しそうでした)。

●世間が求めてくる自分の役割と、私自身がなりたい自分像との間での葛藤に悩んでいます。そろそろ世間になじんで普通に生きていかなければならないとは思うのですが……村田さんは普通とは、一体なんだと思いますか?(20代男性)

村田 難しい質問ですが、広辞苑では「(1)ひろく一般に通ずること。(2)どこにでも見受けるようなものであること。」とありました。それは悪いことではないですが、どうしても人間がやらなくてはいけない仕事というわけでもない気がしています。先日、他の作家さんと、「普通」ってとってもヘンテコなことですね、と話していました。皆でヘンテコになるか、一人でヘンテコになるか、ということなのかなと思っています。

●「コンビニ人間」の主人公古倉さんは、村田さんご自身の投影と考えてよろしいのでしょうか?(50代男性)

村田 私は、大学のころに、私小説に憧れていて、そして自分には無理だと思った人間なので、自分を投影した登場人物を書くことは苦手科目です。一から自分で作った登場人物しか動かせないタイプの作家だなあと思います。

●私も接客業をしているのですが、もともと人見知りでコミュニケーション力が乏しいこともあって、お客様に声をかけるのがすごく怖くてドキドキしてしまいます。何か人と面する時の心構えや極意などありますでしょうか?(40代女性)

村田 私も、酷い人見知りなのでお客さまにお声をかける際には緊張しています。自分の尊敬する、接客が上手な店員さんを見習うことで成長していきたいなあと思っています。まだまだ未熟者で、あんまりいい提案ができず申し訳ないです……!

●子供の頃に特に夢中になった遊びは何でしたか。ままごと遊びをする際は何役になることが多かったですか。(20代男)

村田 一番夢中になったのは、小説や漫画をかく遊びです(意外性がなくてごめんなさい!)。下の兄弟が欲しかったので、おままごとのときは、お姉さん役をやるのが好きでした。

●アイデアが浮かんでこなかったり、行き詰ったりした時のストレス解消法は?(50代男性)

村田 他の小説を書くことです。とてもすっきりします。

●本を書くときのアイデアはどうやって練っていますか。(20代男)

村田 手と頭が連動しているので、とにかくノートに文字を書くことで、いろいろなことが浮かんできます。歩きながら考えることも多いです。

馬鹿で、単細胞で、小説のことばかり考えてる。それが幸せ――村田沙耶香(2)

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