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「キャプテン翼」が日本にオフサイドトラップを教えてくれた――作者・高橋陽一が語る

2017/09/17

 100巻という節目を迎えたサッカー漫画『キャプテン翼』。作者・高橋陽一氏が「翼」誕生の舞台裏を語る。

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 1981年に「週刊少年ジャンプ」で連載を始めた『キャプテン翼』のコミックスが、今年6月にシリーズ通巻100巻の節目を迎えました。

 連載を始めて36年、苦しくて描き続けるのがしんどい時期もありましたが、ちょっと休むと「また翼たちを描きたいな」と思えた。そんなキャラクターを生み出せたからこそ、ずっと描き続けられているのかもしれません。

 今ではサッカーが盛んな欧州や南米を中心に、世界中の国で『翼』のアニメが放映されており、漫画も約20の国と地域で出版されています。現役の世界各国の選手たちが「子どもの頃にアニメを見ていた」と思い出を語ってくれるようにもなりました。

©文藝春秋

サッカー漫画はほとんどなかったので「チャンス」だった

 実は僕は高校までは野球部に所属しており、サッカーは体育の時間にやったことがある程度。ただ、見るのは好きでした。1978年のサッカーワールドカップの中継を見てその魅力に初めて気づいたのですが、アルゼンチンのケンペスら世界的スターのプレーは華やかで……。当時の日本の国内リーグ、三菱対ヤンマーといった試合とはまったく別物でした。

 スポーツ漫画の世界ではそれまで野球が絶対的な王道でしたが、すでに描き尽くされている感もあった。逆にサッカー漫画はほとんどなかったので、チャンスだと思っていたのを憶えています。また打順やベンチからのサインなど様々な制約がある野球にくらべ、サッカーは選手の自由度が大きく、スポ魂的な大人に“やらされる”という雰囲気もなかった。だから双子選手によるツインシュートなど、「ぎりぎりアリかな」と思えるプレーを作中に登場させられたのかもしれません。