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常井 健一
2017/09/15

北朝鮮への特使説が飛び交う小泉純一郎が、今やりたいこととは?

道中で元小錦とバッタリ 撮影:常井健一

 小泉純一郎元首相による電撃訪朝から15年が過ぎた。

「いま(の政府は)なにをやっているんだという被害者の怒りがあることは理解している。政府は1日も早く北朝鮮とのツテを見つけて、少しでも拉致問題の解決の糸口にしてほしい」

 8日、小泉氏は福井県小浜市での講演で、北朝鮮との秘密交渉など訪朝の経緯を回顧しつつ、安倍晋三首相にそう注文。登壇前には控室で被害者の1人、地村保志さんと13年ぶりに再会を果たした。

「小浜市在住の地村さんが講演会場に来ることがわかり、開催4日前、小泉氏に伝えたところ、面会を快諾してくれました」(主催関係者)

 北朝鮮情勢が緊迫する中、小泉氏の動向が、久々に注目を浴びている。

 8月15日夜、山梨県鳴沢村で安倍、麻生太郎、森喜朗の総理経験者3氏らと会食すると、一部メディアが「小泉再訪朝か」と騒ぎ立てた。後日、4人が爆笑している会合中の写真がネット上で流れると、全国紙も報じた。

「オレ、何であんなに大笑いしたか忘れちゃった。日本財団の笹川陽平会長の別荘に元首相がみんな来るからよかったらということで行ったんだ」

 小泉氏は筆者にそう話す。

「原発の話はちょっとしたぐらいかな。あとは、いろんな昔話だね」

 安倍氏から“密使”として訪朝を打診されたという観測には、「そんな話はなかったけどな」と否定した。

「拉致の解決は現職の総理じゃなきゃできない問題です」

 小泉氏は地村さんと会った際にもそう伝えたように、政界引退後は外交に関与しない姿勢を貫いてきた。その理由をこう語っている。

「総理と同じことを言うなら元総理が行く必要はないし、違うことをやれば邪魔になる」(拙著『小泉純一郎独白』)

小泉純一郎独白

常井 健一(著)

文藝春秋
2016年2月25日 発売

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 一方、小泉氏が最近、熱を入れるものがある。企業が雇用を通じて、刑務所を出所した人の親代わりとなり、社会復帰を促す慈善活動だ。先行して取り組んできた笹川氏との連携も模索している。

 小泉氏は、建設業や製造業が多い雇用先を農業にも広げようと7月、法務省と農水省の事務次官を訪ね、陳情した。

「総理時代に提案したことが進んでいなかった。進次郎が党の農林部会長をやったから、いいタイミングだった」(小泉氏)

 現在、75歳。相変わらず、我が道を貫いている。