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世界で最も困難な海洋土木工事の末 完成した東京湾アクアラインが20周年

交通の流れを変えた15.1km

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1997年12月、世界最大規模の海洋土木工事の末に完成した「東京湾アクアライン」。 1本の高速道路がもたらした経済効果は、周辺地域だけでなく首都圏全域に及んでいる。


NEXCO東日本 関東支社 東京湾アクアライン管理事務所長 吉原健一
新潟県出身。1994年入社。本社システム関連部署、新潟支社などを経て、2016年11月より現職。

 開通から20年。東京湾のシンボルとして定着した「東京湾アクアライン」。この湾中央部を横断する延長約15.1キロメートルの道路により、首都圏の交通の流れは大きく変わった。

「やはり川崎~木更津間の走行距離と走行時間を大幅に短縮した影響は大きい。周辺地域にもさまざまな経済効果が生まれています」

 と語る、NEXCO東日本関東支社東京湾アクアライン管理事務所の吉原健一所長。

都心と千葉県を結ぶ路線に1日平均約4万6000台

現在の1日あたりの走行台数は平均約4万6000台。開通当初の約4.6倍まで増えている。
「休憩施設『海ほたるパーキングエリア』は、今や千葉県内では東京ディズニーリゾート、成田山新勝寺に次ぐ人気スポット。高速道路が新たな観光名所を造ったと言えます」

 東京湾アクアラインの整備により東京~神奈川方面が通勤圏になった木更津エリアでは人口が増加。この10年で定住人口は約10%増え、木更津市では33年ぶりに小学校が開校したという。

「東京湾アクアライン経由の高速バスはその利便性が評価され、今では23路線で1日あたり494便に拡大。朝7時台に木更津金田バスターミナルを出発する便は、2~3分に1本の頻度と山手線と変わりません。アウトレットなど大型店の出店が相次ぐなど開発も進み、どんどん暮らしやすいエリアになってきています。一方で休日の夕方、都心方向への渋滞が増えていますので、混雑する時間を避け、18時以降のご利用をお願いいたします」

川崎~木更津間を距離・時間ともに大幅短縮
東京湾アクアラインの開通で川崎~木更津の走行距離は約100kmから約30kmとなり、走行時間も約1/4と大幅に短縮。湾岸線のみだった千葉県と都心を結ぶルートが新たに誕生したことで首都圏全体の道路事情は向上した。

東京湾の真ん中で行われた世界最大規模の海洋土木工事

豪華客船をイメージして造られた海ほたる。12月には40台分の駐車場が増設予定だ。

 俯瞰すると、川崎側から約9.5キロメートルがトンネル、木更津側から約4.4キロメートルが橋梁、さらにトンネル区間の中央に換気施設のある「風の塔」、トンネルと橋梁の接続部に休憩施設「海ほたるパーキングエリア」という2つの人工島で構成される東京湾アクアライン。その建設は調査に20年、建設に10年。

「当時としては世界で最も困難な海洋土木工事でした。東京湾は1日1400隻の船舶が通過する海上物流の要衝。特に水深の深い川崎側は大型船舶の往来も多く、さらに羽田空港があるため空域制限がされており、吊り橋の主塔のような高い構造物は設置できないと判明。当初は橋梁の計画だったようですが、結局、川崎側はシールド工法で海底トンネルを建設することになりました。当時、シールド工法を採用して海底に長いトンネルを造った例はありませんでした」

海底に10kmに渡って造られた世界最大級のトンネル。口径14.14mのシールドマシンを使用。
前例のない大断面・大深度掘削技術で、海底に超大型のシールドマシン発進基地を造成した人工島(風の塔)。発進基地は外径103.6m、海面からの深さ119m。そのようなものを海中に造る工事は前例がなかった。

 吉原所長は新入社員時代にシールドマシンの発進基地として先に造られた人工島「風の塔」の建設現場を見学したという。

「川崎人工島の中の工事を間近で見たのですが、そのスケールの大きさにただただ圧倒されたものです」

橋梁部は、陸で造った巨大なパーツを大型クレーン船で運び、現場で連結していった。

次世代へ引き継ぐために

 必要なこと巨大なシールドマシンを川崎側と人工島側から4台ずつ発進させると同時に、木更津側では橋脚を造成。

「軟弱地盤である東京湾に建造物を造る工事は困難を極めたようですが、設計会社、ゼネコン、メーカーなど各社の優秀な技術者と最先端技術を投入して対応。つまり、東京湾アクアラインは、日本の建設業界の英知を結集した道路なのです」

 開通から20年、東京湾アクアラインは首都圏の高速道路網の中でも重要な路線として、首都圏全域の発展に欠かせない機能を発揮している。

「海洋土木技術の粋を結集して造った東京湾アクアライン。海底と海上を走る特殊な道路だけあって、他の道路と比べてもその維持管理は難しくて大変です。ですが、私たちの役目は、先輩方が命懸けで造ったこの道路を次世代へ引き継いでいくこと。そのためにもしっかりと維持管理に努めていきたいと思います」

木更津側から眺める東京湾アクアライン。橋梁から海ほたるを越えてトンネルへと続く。
INFORMATION
 

12月17日(日)海ほたるPA内で20th anniversaryイベントを開催
海ほたるパーキングエリアでは、開通20周年を記念したさまざまなキャンペーンやイベントを開催中。詳細は、特設サイト(下記)でご確認ください。
http://www.driveplaza.com/special/aqualine20th/

提供=NEXCO東日本
文=勝木美穂 写真(人物)=三宅史郎