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「テキーラ事件はいつ起きてもおかしくなかった」元六本木キャバクラ嬢が語る、港区の実態

2021/01/18

genre : ニュース, 社会

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 2020年11月、東京・恵比寿の会員制高級ラウンジで、同店の従業員A子さん(20)が亡くなった。警視庁渋谷署は事故として処理したが、彼女の死にはあるゲームが関わっている、とネット上で話題に。そのゲームとは「15分以内に750mlのテキーラボトルを飲み干したら挑戦者に10万円を渡す」というもの。テキーラチャレンジと呼ばれるこのゲームを考案し、現場にも居合わせた起業家・光本勇介氏が後にSNSで特定されて大炎上した。

 夜の街に馴染みがない人々にとってテキーラ事件の衝撃は大きかったはずだ。しかし、今回話題になった会員制高級ラウンジ(以下、ラウンジ)をはじめ、女性キャストが接客をするキャバクラでは客から無理難題を課せられるのは日常茶飯事だという。(取材・文=真島加代/清談社)

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 後藤美加さん(仮名・30歳・会社員)は、大学生時代から六本木のキャバクラで働き、社会に出たあとも生活費の足しにするため時折キャバクラやラウンジで働いていた女性だ。この事件をネットで知ったとき、光本氏の遊び方に“古臭さ”を感じたという。

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「2010年代後半頃には、お酒をムリに飲ませる客は減っていた印象があるので、今回の事件は、まだそんなことやってるのか、という驚きがありましたね。10年くらい前は、お客さんにお酒をたくさん飲まされて潰れるキャストの女の子をたくさん見ました。さすがに身近で亡くなった子はいませんが、『シャンパン入れてやったんだからちゃんと飲め』と言われたり、『テキーラ一気したら、チップで1万円あげる』という提案もよくされました」

お酒の飲ませ方については黙認している店

 とくにVIPルームのような閉鎖空間では、スタッフの目が届かないので好き勝手に振る舞う人が多い、と後藤さん。一方で、店側が黙認しているケースも多いという。

「黒服(男性スタッフ)がお客さんに注意をするのは、女性キャストに触る“おさわり”などのセクハラ行為で、お酒の飲ませ方について進言することはありませんでした。また、テキーラのようにアルコール度数が高いお酒を飲むと女の子にドリンクバック(通称ドリバ)がつくので、女の子にとっても悪い話ではないんです。キャバクラとラウンジは接客方法などのこまごまとした違いはありますが、ラウンジもだいたい同じだと思います」