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安倍自民は勝てるのか? 過去に学ぶ「今なら勝てる解散」の成功例と失敗例

衆院勝利で佐藤越えも射程圏内 ©文藝春秋

 混乱する野党の不意を突く形で電撃解散に踏み切った安倍晋三首相。古今東西の事例をみると、勝てば長期政権が確実となるが、「攻めの選挙」で勝利するのはそう簡単ではない。

 今回と同様の国会召集時の冒頭解散では、1966年12月の「黒い霧解散」が有名だ。ただ、この時は野党が自民党で相次いでいた不祥事、いわゆる「黒い霧事件」の真相究明を求めていたことから、与野党合意の解散だった。当初は自民党が劣勢とみられていたが、翌1月の選挙結果は微減ながらも安定多数を維持。佐藤栄作首相が戦後最長の7年8カ月に及ぶ長期政権を築く足がかりとなった。不祥事を解散で吹き飛ばした例で、森友・加計スキャンダルで支持率が低下した安倍首相のモデルケースだ。

 1986年の「死んだふり解散」も成功例だ。衆参同日選で、歴史的勝利を収めた中曽根康弘首相は総裁任期の1年延長という果実を手にしている。

 ただ、成功例ばかりではない。1972年12月の衆院選は、同年9月に日中国交正常化を成し遂げた田中角栄首相が勝負に打って出た戦いだったが、結果は297から271にまで議席を減らした。一方、共産党は都市部で大躍進し、低迷していた社会党も善戦した。選挙前は「日中外交の成功で今なら勝てる」との声が自民党内に充満していたという。

 海外に目を転じれば、イギリスで今年4月、保守党のメイ首相がEU(欧州連合)離脱を国民に問うべく、突然下院の解散を発表した。野党・労働党の低支持率を好機とみた電撃解散だったが、結果は保守党が過半数割れする敗北だった。

 さらに、昨年4月の韓国総選挙でも「与党圧勝」の予測を覆す結果が出た。自民党の山本一太参院議員が、ブログで今回の解散は「韓国国会議員選挙をどこか彷彿とさせる」と懸念しているケースだ。

 野党第一党の「共に民主党」が党内抗争が激化し最低支持率を記録した挙句、分裂。朴槿恵大統領を支持する与党セヌリ党は過半数獲得が確実視されたが、蓋をあけてみれば、第一党からも転落する結果となった。その半年後には、崔順実ゲート事件が発覚し、年末には国会から弾劾を受け失脚。翌年3月には逮捕された。

 乾坤一擲の勝負に打って出た安倍首相は、大叔父の佐藤氏を越えられるか。