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小池百合子×池上彰「いま一番日本の政治に必要なのは、情報公開と政策決定のスピード感」

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「希望の党」代表として政界の台風の目となった小池百合子都知事。誰もが知りたいその政策から歴史観まで、池上彰がホンネを問う!『おい、マジか。池上彰の「ニュースを疑え!」』(文藝春秋刊)に収録された、大躍進の原点となった都議会選圧勝直後の対談を公開。

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『おい、マジか。池上彰の「ニュースを疑え!」 』(池上彰 著)

池上 今回の都議会選でも都知事選に続いてシンボルカラーの緑を多く見かけましたが、普段はあまり緑色の服は着ていませんね。

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小池 私は紺色と白がベーシックで大好きなんです。

池上 どうしてですか。

小池 落ち着いているからですね。緑は戦闘服です。

池上 昨日たまたまアラブの専門家と話をしていたのですが、小池さんの緑の服の話になって、「緑はイスラムのカラーだよね。やっぱりゆかりのアラブから、緑にしたのかな」と言うから、「明日聞いてきます」と応えたんですが、どうなんでしょうか。

小池 (笑)。イスラムカラーの緑といえば、リビアのカダフィのイスラム社会主義革命も「グリーン革命」と呼ばれていましたものね。

池上 そうそう。国旗も緑一色にして。カダフィの『緑の書』(1975年 邦訳1980年 第三書館刊)も読みました。

 さて、2017年7月2日の都議会選挙ではその小池さんが率いる都民ファーストの会が圧勝でしたね。127議席のうち公明党など支持政党を含めると過半数となる79議席を押さえました。ところが、その翌日には小池さんは代表を辞任しました。それは首長である知事と、議会の議員とがお互いにチェックしあう「二元代表制」をちゃんとやってないんじゃないかという批判を受けてのことでしょうか。

小池 勝ちすぎてしまったからですね。そもそもこれまでの知事がきちんと首長職を果たしていなかったために、都議会側でドンによる一元代表制のような状態だったことが問題です。これではいけない、ちゃんとした二元代表制に改善したいというのが都民ファーストの会の発端でした。しかし今回のようにあまり勝ってしまうと、これはこれでバランスを欠くと。自粛する意味あいで知事に専念しようとの思いです。もちろん議員を生みっぱなしにするわけではありません。特別顧問として面倒を見続けるつもりです。

こいけゆりこ/1952年生まれ。カイロ大学卒、アラビア語通訳、キャスターを経て92年に政界へ。環境大臣、防衛大臣を歴任し、2016年東京都知事。都民ファーストの会特別顧問。「希望の党」代表。©三宅史郎/文藝春秋

池上 それにしても、あれだけの勝利に対して、政治家の嫉妬もスゴイでしょうね。女性の嫉妬は言っちゃ悪いですけれど結構わかりやすいですが、男性の嫉妬というのは、必ず建前を立てて、嫉妬に見せないでやってくるから厄介ですよね。

小池 そうですね。嫉妬の漢字は女ヘンを男ヘンに変えて書くべきだと、私は前からしばしば申し上げています。まあ、しばらく暗い夜道は歩かないようにしたいと思っています(笑)。

池上 菅義偉(すがよしひで)官房長官は怒ってるんじゃないですか。今回大量の自民党議員が落ちたということは、それだけ大量の新たな敵をつくったということですよね。

小池 お気に召さない方はたくさんいらっしゃると思いますね。私の前任のおふたりはどこからか背後から鉄砲で撃たれて任期途中でお辞めになりました。知事の任期は本来4年間。ところが私までの4年間で都知事は4人も替わっているんですよ。普通の会社なら潰れていますよね。私は都政をちゃんとやりたいから、この1年間、環境を整えることに費やしてきたんです。

池上 これで都政に取り組む環境が整った、と。