昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

連載モテ読書

犬山 紙子
2017/10/07

「ヒゲとボイン」のおかげで、モテるようになった女性――犬山紙子「モテ読書」

 美人というわけじゃないけれど妙にモテる女。みなさんの身の回りにもいるのではないでしょうか。彼女たちに共通するのは「男が好きである」ということ。人間「あの人かわいくないのにモテるね」だったり「あの人は綺麗なのに恋愛で失敗ばかりしているよね」だったりとモテをルックスを基準に考えがちですが、それよりも断然その人が「男を好きかどうか」を基準に考えた方が腑に落ちるのであります。で、これは何も恋愛だけじゃなくて「人に好かれる人」も同じく「人が好きな人」だったりして。まあ、これがわかったからって簡単に男を好きになったり人を好きになったりできるわけではないのですが……。

©犬山紙子

 この法則に気がついたのはAちゃん(32)に話を聞いてから。もっちりした肌に艶やかなショートの黒髪と艶やかなまつげ、ベージュのノースリーブのワンピースに身を包み、常に微笑を湛えている……。そう、妙にセクシーなんですよ。そもそもの顔の作りは私とそんな変わらないのに色気が雲泥の差。その色気の秘密ってなんだ? と思って色気の秘訣を聞いていると「私は多分めっちゃエロい、エロさって人と比べられるものではないと思うけど、それにしたっていつも妄想してるし、関係も持ちたいし男性が好きなんですよ」と言ったのであります。それで、これまでの妙にモテる女を思い返すと全てに合点がいった次第。しかし男性がそこまで好きになった……というかエロくなったきっかけはあるんだろうか。

「私がエロくなったきっかけは子どもの頃読んだマンガ『ヒゲとボイン』(小島功〈こお〉)の影響。黄桜のカッパの妙に色っぽいCMを幼い頃見てどこかに引っかかっていて、お父さんが読んでる雑誌をこっそりみていたら『あ! あのカッパの!』ってなって。それから毎号こっそり『ヒゲとボイン』を読むのがお楽しみになったんですよ」

 まさかそんなきっかけだったとは。そりゃあ子どもの頃から「男と女の煩悩、性欲とは」の解答を刷り込んでいたのならモテるのも納得がいくってものです。「普通、そういうのってずっと読み続けないと思うんですけど私は実家にいる間ずーっと読んでたんですよ。なんだか大人って楽しそう! って思えて」確かにヒゲとボインに登場する性欲に振り回される大人たちはよく情けないことになっているけどどこか楽しそうだものなあ。

 そしてそう言うAちゃんも華麗に夜の街を飛び回っていて、私なんてもう良い大人なのに「大人は楽しそうだな」なんて思ったのであります。

はてなブックマークに追加