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横田 増生
2017/10/09

ヤマト本社が東京労働局から行政指導 きっかけは元セールスドライバーの“相談”

1万人の採用を発表した山内社長 撮影:横田増生

 ヤマト運輸を傘下に持つヤマトホールディングスの山内雅喜社長は9月28日、働き方改革を中心に据えた新中期経営計画を発表した。

 セールスドライバー(SD)の残業時間を大幅に削減しながら、営業利益率を現状の2.4%から3年後には4.3%に引き上げるという大胆なプランだ。

 この構想を可能にするのが、2シフト制。正規雇用のSDは、午前8時から午後6時前後で仕事を終え、その後は、夜間専用の非正規雇用のドライバーや下請けが受け持つ。

 現役のSDたちに聞くと、「給与が大幅にダウンする」や、「夜だけの配送に人が集まるとは思えない」といった否定的な言葉が返ってくる。

 ヤマトがここまでビジネスモデルを大きく変えざるをえないのは、残業代未払いや長時間労働などの一連の労働問題があるからだ。

 実は9月、ヤマト本社は東京労働局から行政指導を受けている。対象となったのは、ドライバーの残業代を削減する切り札として使ってきた1カ月単位の変形労働時間制だ。

 簡単に言えば、1日8時間を超えると生じる残業代を、1カ月間など一定期間の平均を週40時間に収めれば支払わなくてよい。ただ、適用を受けるには、事前に勤務時間を確定するなど、厳格な運用が求められる。

 行政指導に至ったきっかけは、ある元SDが半年前、労働基準監督署に相談したことだった。同制度が無効なら、ヤマトの支払う未払い残業代は増えることになる。

 元SDが所属する神奈川県労働組合総連合の澤田幸子氏はこう語る。

「ヤマトの運用は、シフトを頻繁に変更したり、初めから残業代込みでシフトを組むなど、制度の趣旨に反している。労基署から、全社的に調査して結果を報告するようにと行政指導したとの連絡がありました」

 ヤマト広報部は、行政指導を認め「事業所に適正に運用するよう徹底してまいります」と回答した。

 一方、先の元SDは、「この先、ヤマトを民事裁判で訴え、司法の場で、黒白をはっきりさせたい」と語る。

 ヤマトには、労働局に全社調査の結果を報告する義務がある。ヤマトは本当に変われるのか。

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