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特集
どうする保育園。どうなる待機児童。 国会議員、地方自治体トップ、当事者に連続インタビュー

渋井 哲也
2017/10/11

てぃ先生インタビュー「子育てはネガティブな情報ばかり。でも、保育士の仕事って楽しい」――どうする保育園 #7

フォロワー数43万人の男性保育士が発信を続ける理由とは

女性ばかりで圧倒された入学式

――そもそも保育士になろうと思ったのはなぜですか?

てぃ先生 しっかり決めたのは高校生のときです。サラリーマンよりも専門的な仕事に関心がありました。最初は漠然と医者とか宇宙飛行士とか。ただ、昔から子どもが好きでした。子どもと触れ合う仕事というと保育士や幼稚園です。保育士は子どもが好きじゃないとやれません。個人的には、子どもの成長は幼児期に確立すると思っています。

 保育士になりたいと思ったとき、親は反対しませんでしたが、友達や高校の担任は心配していました。たしかに、保育士は女性の社会ですし、待遇面がいいとは言えません。しかし、やりたくない仕事を我慢してやるよりはいいと思ったのです。正直、専門学校の入学式では「とんでもないところに来てしまった」と思いました。周囲が女性ばかりで圧倒されたからです。中には男性もいましたが、60人クラスで4人しかいませんでしたしね。

 実習でも当初は「70%は子どもと遊ぶこと」と思っていました。しかし、保育士はただ子どもと遊んでいるわけではありません。学びも取り入れており、奥深いと思いました。学びは、生きる力を養うことだと思っています。嘘をつくとしても、うまく嘘をついたり、体力をつけたり、友人関係を学んだり……。

 やりがいを感じるときは成長が見られるときです。例えば、年長さんだと、縄跳びが飛べるようになったときとか。あるいは、子どもが自発的に遊ぶようになったときとか。

保育園には「遊び」だけではなく「学び」も ©iStock.com

――離職する人も多いですね。

てぃ先生 大変だと思うことはありますし、正直やめたいと思ったこともあります。ただ、どんな仕事だって大変です。楽な仕事はありません。であれば、自分がやりたいことをやった方が良いです。もちろん、子どもとの相性もあります。「どうしてこうできないの?」とイライラするとしたら、大人が期待しすぎているのではないでしょうか。外遊びをするとしても、「外に行くよ!」と押し付けてはいけないと思います。イライラするのはお門違い。いかに子どもが自発的に何かをするようになるのかが大切です。

 もちろん、保育観(保育に対する考え)はみんな違います。他の保育士とぶつかるときもあります。その子にとっての正解、そのクラスにとっての正解はあるかもしれませんが、すべてに当てはまる「正解」はありません。他の保育士とお互い引き出しを見せ合っていくことが必要だと思っています。

――保護者とのコミュニケーションは大変ですか?

てぃ先生 子どものことだけを話すと、どうしてもビジネスライクになってしまい、保護者のプライベートが見えてきません。例えば、母親が妊娠すると、上の子どもに影響があります。それを教えてくれると、どのように子どもに接すればよいか、という早期解決につながります。お互い、一線を越えないようにしつつ、話しやすい環境づくりをしています。

 もちろん、子ども同士のトラブルがあったときに、「もうちょっと公平に保てばよかったかな?」と思うことはあります。公平にしたつもりでも、保護者はそう感じないことがあります。話ができる関係であれば、仮に保育士が失言をしてしまったとしても、大きな関係崩壊にはなりません。

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