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強盗犯は地元の「駐在さん」
説得に改心せず“消えた美談”

source : 週刊文春 2016年9月1日号

genre : ニュース, 社会

大塚泰博・青森県警本部長は3月に着任したばかり
Photo:Kyodo

 短編の名手O・ヘンリーは、主人公が刑務所で越冬しようと犯罪を繰り返すたびに逮捕を免れて落胆する中、賛美歌に心を打たれて改心した直後に逮捕される悲喜劇を描いた。8月17日、青森県警が強盗未遂などの疑いで再逮捕した八戸署地域課巡査長、石橋良太容疑者(25)にも逮捕直前、改心の兆候がみられたという。

 警察担当記者が説明する。

「石橋は7月17日未明、八戸市の漁師の60代夫婦の自宅に押し入った。署から持ち出した包丁で『殺すぞ』と脅して強盗しようとした疑いで逮捕されました。『オンラインカジノで数百万円の借金があった』と話しています」

 これだけならただの不祥事だが、この話、そもそもは美談で終わるはずだったという。

 石橋容疑者の勤務先は同署の沼館駐在所。いわゆる「駐在さん」として地元密着で祭りに出たり、子供と遊んだり、近所づきあいをしながら警戒活動をしていた。今回押し入ったのも、地元の活動で自宅を訪問していた先だった。

「サングラスなどで変装してはいたものの、今年に入ってから会っていた漁師の妻は口ぶりなどから駐在だと気づきました。そのまま強盗を続けるほどの覚悟もなく、石橋は何を思ったか、今度は『もう死ぬしかない』などと訴え始めたのです。夫婦はいつの間にか強盗の被害者側から『若いのに死ぬことはない』などと取りなす側に。結局、石橋は1時間ほど、借金などの話も打ち明けて相談に乗ってもらい、何も取らずに帰宅。夫婦も一時の気の迷いとして、警察には通報せず、石橋はその日の朝から駐在所勤務を再開したのですが……」(同前)

「美談」も束の間。1週間後の7月25日、今度は気になる女性に接触するために薬物疑惑をでっち上げ、車中を捜索したり腕を触ったりする違法捜査の暴挙に出た。翌26日にはこれがばれて公務員職権乱用で逮捕。強盗未遂も知られるところとなった。

 捜査関係者は「駐在は仕事とプライベートの境があいまい。若い警察官の中には地元民と関係が作れず、短期間で配置換えとなる者もいるが、今回ばかりは同情の余地はない」と嘆息するばかり。強盗未遂発覚の端緒が石橋容疑者の自白だったというのが改心を示す唯一の救いか。とまれ、この後味の悪さでは、短編には仕立てられそうもない。

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