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インナーマッスル鍛えて撮影に臨んだ理由

――バスの車掌・益子次郎の役作りはどんなふうにされたんでしょうか?

松尾 実際に奥茨城でボンネットバスに乗ってみて分かったんですが、エンジンがうるさくて、道がボコボコなのでバスがガタガタ揺れるわけです。ということは、騒音に負けないくらい大きな声を出さないと仕事ができない。だから、とにかく大きな声を出す人、というイメージはすぐに湧きました。それから、毎日人を元気に送り迎えするのが仕事の人ですから、みんなの生活時間の門番というか、「毎日」を届けるような存在だろうと考えたりもしました。

 

――バス車内のシーンは、バスが実際に走るなか撮影されたんですよね?

松尾 そうです。運転手は城戸光晴さんが演じられたんですけど、大型一種免許を持っている方で、実際に運転されてたんですよ。なんでも山形でボンネットバスが現役で走っていて、城戸さんもそこまで運転練習に行ったと聞きましたが、それにしてもデコボコ道を走るので、ホンマに揺れるんですよ。だから僕、インナーマッスル鍛えて撮影に臨みました。車内でバランス取りつつ、切符切りつつ、セリフを喋り、しかもカメラのことを気にし……となると、想像以上に筋肉使うんです。ちゃんと芝居するより、立ってることのほうが大変でしたから。

クランクアップで谷田部ちよ子役の宮原和(かなう)さんをおんぶする松尾さん ©NHK

僕たちだけの名場面

――奥茨城の同級生3人、みね子、時子、三男を乗せて走る場面は物語の中でもたびたび回想される「原風景」のようなシーンでしたが、松尾さんにとっても思い出深いシーンなのではないですか?

松尾 特に泉澤祐希くん演じる三男のことはよく覚えてますね。三男は佐久間由衣さん演じる時子に片思いする役でしたが、カメラが三男を撮っていない時でも、ずっと時子を見つめてるんですよ。で、それを見ていると、僕もカメラに映っていないけど、泉澤くんの演技に合わせて演技したくなって、二人して“カメラ外”で物語を紡ぎあっていました。僕たちだけの名場面ですね(笑)。

発車オーライ!

#2 次郎さん役・松尾諭だけが知っている『ひよっこ』キャスト秘話 に続く

写真=榎本麻美/文藝春秋

連続テレビ小説『ひよっこ』総集編
[総合]10月9日(月・祝) 午後3:05~ 前編(1週~13週)/午後4:33~ 後編(14週~最終週)