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山内 宏泰
2017/10/07

創造力がバクハツする、草間彌生の個人美術館がオープン

アートな土曜日

 存命の日本人アーティストで人気と国際的評価、さらには作品価格が最も高いのは誰か? 草間彌生を措いてほかにいない。水玉模様やかぼちゃをモチーフにしたカラフルな絵柄、または無数の突起で表面が覆われたオブジェ。いちど目にしたら、その作風はもう決して忘れられない。そんな彼女が、東京・新宿区で個人美術館をオープンさせた。開館記念として「創造は孤高の営みだ、愛こそはまさに芸術への近づき」展が始まっている。

モノクロ、カラーの作品群ともまさに「草間ワールド」

 外苑東通りに面したビルの丸ごと一棟が、草間彌生美術館である。2〜5階が展示スペースにあてられており、観客はワンフロアごとに階段を上りながら展示を観ていくかたち。2階にはまず、《愛はとこしえ》シリーズ27点がずらりと並べられている。

撮影/筆者

 フリーハンドで描いたドローイングを、シルクスクリーン技法で版画にしていった連作。黒のマーカーペンのみで画面いっぱいに描かれているのは、抽象的な図柄ばかりかと思えばそうではない。ところどころにかわいらしいキャラクターが登場するので、細部まで目を凝らしてチェックしてみたい。画面のあちらこちらを夢中で眺めていると、草間のペンが生み出す夢の国に迷い込んで抜け出せなくなっている。

撮影/筆者

 3階へ進むと、一転してカラフルな世界が広がる。大きなアクリル絵画《わが永遠の魂》がびっしり展示されている。このシリーズ、2009年から1〜2日に1点という驚きのペースで描き続けられてきた。描いた数は、現在すでに500点超。そのなかから16点を草間自身が選び、並べてある。

 色の置き方や筆のタッチ、抽象と具象が入り混じるモチーフまでとことん自由。草間彌生の頭のなかには、無限の創造性が渦巻いているのだろう。それを日々、外側へ吐き出していくことが彼女にとっての創作なのだろうと推察する。

ビル一棟が丸ごと「創造の国」になる

 4階にはさらに「無限」を感じさせる展示があった。暗闇のなかに光り輝く無数のかぼちゃが置いてある。壁面のぐるりが鏡になっているので、反射でかぼちゃが無限の彼方まで反復している。草間お得意のミラールーム作品だ。空間に合わせて設置された新作《無限の彼方へかぼちゃは愛を叫んでゆく》。

撮影/筆者

 突如として登場する無限のかぼちゃ畑を眼前にしたら、観る側はもう呆然とするよりほかない。草間本人は、幼少のころからかぼちゃへの畏敬の念を抱き続けてきたという。この展示室にいると、その気持ちが理解できる気がしてくる。

撮影/筆者

 5階は屋外空間につながっていて、ここにも新作の立体作品がひとつ。《Starry Pumpkin》は、やはりかぼちゃのオブジェだ。抱えきれないほど大きいかぼちゃは、表面が金色にデコレーションされている。太陽の光を浴びるとキラキラ眩しく、着飾った女王様が東京の街を睥睨しているかのよう。

 浦安には東京ディズニーリゾートのシンデレラ城があって、夢の国を見下ろし守っている。同じように新宿区にできたこのビルは「草間彌生城」として、創造の国を守護せんとしているみたい。

「私は人生のおしまいの日までこれからも闘い続けます」

 と力強いコメントを残す創造主・草間彌生が生み出した、非日常の世界にたっぷり浸ってみたい。入場は日時指定の予約・定員制なので注意を。チケットは美術館ウェブサイトwww.yayoikusamamuseum.jpより求められる。

INFORMATION

創造は孤高の営みだ、愛こそはまさに芸術への近づき
2017年10月1日〜2018年2月25日
草間彌生美術館

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