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小石 輝
2017/10/07

「エイリアン:コヴェナント」が100倍おもしろくなる「リドスコ監督79歳の煩悩と執念」

サブカルスナイパー・小石輝の「サバイバルのための教養」

「エイリアン:コヴェナント」は「怖くて深い」映画だ。

「エイリアンはどのようにして誕生したのか」という謎を解き明かす作品であると同時に、2012年に公開された「プロメテウス」の続編でもある。そしてこの2作を通じてリドリー・スコット監督は「誰が人類を創造したのか」「創造主と『創造された者』との関係は何か」という宗教的・哲学的かつ、自らにとって切実な問いかけをしている。

 79歳になる監督はインタビューでこう語っている。「我々人類が生物学的偶然によって生まれたと思うかい? 絶対に違うとも」「私はすべての背後に『何か』が存在すると信じている」。この言葉は「コヴェナント」の冒頭シーンで、ほぼそのまま繰り返される。つまり、監督は「宇宙のどこかに、私たち人類の創造主が必ずいる」と本気で信じており、それ自体を映画のテーマとしている。

「ちょっと、ちょっと、リドスコ監督。ヤバイ世界に行きかけているんじゃないの!?」と突っ込みたくなる気もするけど、監督の情熱とパワーがあまりにもすごいため、有無を言わさず作品世界に引き込まれてしまうのだ。

リドリー・スコット監督 ©getty

「プロメテウス」では、主人公の女性科学者エリザベス・ショウらが、世界各地の太古の遺跡に、共通の星図が刻まれていることを発見。星図が指し示す惑星には人類を創造した異星人「エンジニア」がいると推測し、宇宙船で探索に向かう。だが、そこはエンジニアが開発した「生物の遺伝子を改変して怪物化させる黒い液体=生物兵器」の製造工場であり、エンジニアはその黒い液体を使って人類を滅ぼそうとしていた。

 怪物やエンジニアとの戦いでただ1人生き残ったショウは、人類が創りだした不死のアンドロイド・デヴィッドと共に、エンジニアの母星を訪れる新たな旅に出る。「なぜ我々を創り、我々を憎むのか」と創造主に問うために――。

「コヴェナント」ではその10年後、新天地を求めて地球を旅立った宇宙移民船の乗組員らが、地球に極めて似た星を見つけて降り立つ。だが、そこは動物がまったくいない死の星だった。2人の乗組員が黒い胞子状の物質に感染し、その体を食い破ってエイリアンに似た怪物が出現する。次々と怪物に襲われる乗組員たち。窮地を救ったのはアンドロイドのデヴィッドだった。ここはショウが目指したエンジニアの母星だったのだ。デヴィッドがたった1人で住むエンジニアたちの都市は、彼らの石化した遺体で埋め尽くされていた。エンジニアたちはなぜ死に絶えたのか。そして、ショウの身には何が起きたのか――。

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