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「天才」か「堂々と嘘のつける怖い人」か 小池百合子劇場暴走中

今週の名言、珍言、問題発言総まくり

2017/10/07

genre : ニュース, 政治

音喜多 駿 東京都議
「都民ファーストはブラックボックスそのもの」

ハフィントンポスト日本版 10月5日

 10月5日、小池百合子東京都知事が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」所属の音喜多駿都議と上田令子都議が、同会の離党届を提出した。音喜多氏と上田氏は2016年の都知事選でいち早く小池氏の支援を表明し、「都民ファーストの会」のメンバーとして小池都政を支持してきた。

 音喜多氏は離党理由について、「『都民ファーストの会』のガバナンス、とりわけ情報公開の不徹底」「国政政党『希望の党』への抵抗感」「小池知事の都政に対する姿勢への疑問」を挙げている。特に今年9月、党の新代表として小池氏の元秘書、荒木千陽都議が選出された際、小池氏ら党役員3人だけで決めたことなどを問題視しており、「我々が非難してきたブラックボックスそのものだ」と強く批判した。さらに音喜多氏は、言論統制、取材規制が行われていたとも述べ、「私に関して言えば、ほとんどのメディアに出ることは事実上禁じられ、議員個人の自由な意見を述べることはできなかった」と明かしている。

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10月5日、「都民ファーストの会」に離党届を提出し、記者会見する音喜多駿都議(左)と上田令子都議 ©時事通信社

 また、上田氏は党の資金集めの方法について疑問を呈した。「各都議からは毎月、政務活動費15万円、党費6万円が徴収されている。毎月15万円、55人で1000万円近い政務活動費は血税。いくら払うのか、どういう契約なのかという説明もないのは、まさにブラックボックスと言わざるをえない」。

 しかし、「都民ファーストの会」がブラックボックスだということは、すでに何度も指摘されている。8月、小池都知事は「豊洲移転・築地再開発」の最終判断を「密室」での協議で行っており、文書などを一切残していないことが明らかになった。すでにこのとき「ブラックボックス」と批判されている。当時、音喜多氏は小池氏を擁護していたが、一転して今回は自らが小池都政を「ブラックボックス」と批判したことになる。

 8月の記者会見で「情報公開という知事の方針に逆行するのでは」と問われた小池都知事は「それはAIだからです」と回答していた。「AI」という表現は、小池氏が希望の党の代表就任に関して自分一人で決断を下したと答えたときにも使われていた。小池氏が独断を下すときは「AI」という言葉が使われるようだ。

 また、希望の党は公認希望者に対して一人400万円の資金提供を求めていたことも明らかになった(朝日新聞デジタル 10月4日)。細かな説明もなく、お金を振り込んだのに公認を見送られたという人も少なくない。「都民ファーストの会」の資金集めのブラックボックスぶりとそっくりだ。

 希望の党は政策として、「しがらみのない政治」「行政改革、徹底した情報公開」をうたっているが、とても実行できるとは思えない。希望の党も「都民ファーストの会」同様、ブラックボックスになるのだろうか。

安倍晋三 首相
「この選挙戦は、いかにして国民の平和で幸せな生活を守り抜くのかを問う選挙だ」

NHK NEWS WEB 9月30日

 ひっかき回し続ける小池氏をよそに、安倍首相はこれまでの政策をアピールすることに専念しているようだ。全国での遊説でも安倍首相が「国難」と位置づける「北朝鮮の脅威」について重点的に語っている。冒頭の言葉は、引退を決めた谷垣禎一自民党前幹事長の選挙区の演説会でのもの。「北朝鮮の脅威に国際社会が連携して立ち向かっていかなければならない」と続く。産経新聞のインタビューには「時間をかければこの問題が解決する保証は全くない。むしろ事態は緊迫していく可能性がある」と回答している。つまり、今のうちに「この状況に対応できるのは誰かを問う選挙」を行って、今後の事態に対応しようというわけだ(10月6日)。

「民主主義の原点はまさに選挙です。この選挙が北朝鮮の脅かしによって左右されるようなことがあってはならないのではありませんか!」。これは3日に栃木県さくら市内で行った街頭演説での言葉(産経ニュース 10月3日)。ん? 北朝鮮の情勢が緊迫しているから今のうちに選挙をやるんじゃないの? ちょっと何を言ってるのかわからない。

 とにもかくにも、安倍首相がアピールしたいのは「北朝鮮の脅威」だ。ところが、自民党関係者から「安倍首相も菅氏(義偉官房長官)も北朝鮮情勢そっちのけで、官邸を離れ、各地の選挙応援に入っています。小池氏の勢いに危機感を抱いているのでしょう」という声が漏れている(『週刊文春』10月12日)。全国あちこちで「北朝鮮の脅威」を語っているだけで肝心の対策が進んでいないというのだ。

沖縄戦没者追悼式出席時の安倍首相 ©文藝春秋

 衆院解散後の初の日曜日となった10月1日は、政府の危機管理の責任者となる安倍首相と菅官房長官が約4時間にわたって同時に東京を離れていた(朝日新聞デジタル 10月2日)。菅氏は2日の記者会見で、野上浩太郎官房副長官が首相官邸に緊急参集できる態勢にあったとして「万全な態勢だ」と一蹴した(産経ニュース 10月3日)。菅氏の言葉によると、首相と官房長官が東京に不在でも「万全な態勢」ということになる。

 ちなみに安倍首相は、森友・加計学園疑惑について、「批判も受け止め国民に説明もしながら選挙を行う」と語っていたが(日テレNEWS24 9月25日)、現時点では街頭演説などで森友・加計学園疑惑について触れていない。自分で言っておいて、どうしてやらないのかな?