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【中日】賛否両論の応援歌を自作する“ドラゴンズおやじ”を知っているか?

文春野球コラム ペナントレース2017

2017/10/10
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「ドラゴンズおやじ」を知ってるかい?

 皆さん、突然ですが「ドラゴンズおやじ」ってご存知ですか? 何言ってんだ! オレが正真正銘のドラゴンズおやじだっ! とスマホやパソコンの画面を見て呟いている方、想像するだけでウン万人といることでしょう。実は私も本音ではそんなボケをかましてしまいたい。実はこのドラゴンズおやじ、歌手なのだ。ある意味、芸名。いやペンネーム? なんだろう。ややこしい。まずは存在を知ったあたりから書いていこうか。

 あれは今年の4月の終わり。桜の花も散り、スタートダッシュで大コケし、日々ヤケ酒をカッ食らっていた頃。われらマスコミ・ドラゴンズ会、通称マスドラ会の目崎事務局長から名古屋のラジオ局の番組に出演するので終わったら逢いませんか? との誘いを受け、昼呑みしていた時に嬉々として教えてくれたものだった。目崎さんはその日、CBCラジオ朝の長寿番組『つボイノリオの聞けば聞くほど』に出演。その際このネタを仕入れてきたようだった。

『どのような歌なのかまだ聴いたことはないけど、どうも聞いた話では番組でその歌をかけた日は不思議とドラゴンズが負けないらしい。こんな負けが込んでいる時こそ、この歌を全国のドラゴンズファンに紹介すれば面白くない?』

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 そんな話を聞いて、飛びつかないわけがない。一言、面白いじゃないですか! 是非聴きたい! と盛り上がり、話はトントン拍子。目崎さんの取り計らいにより番組スタッフの方と接触することに成功。応援歌が番組で紹介された由来あたりから質問してみたところ、番組ディレクター高臣文代さんから時系列的に書き綴られたドラゴンズおやじのドラゴンズ愛に溢れるメールを頂いた。

 ドラゴンズおやじはドラゴンズをこよなく愛するラジオリスナー。ドラゴンズ愛が高じて応援歌まで作ってしまい、自ら歌いカセットテープに録音したのが事の始まり。1999年、ドラゴンズおやじ自身がドラゴンズ球団事務所に応援歌「戦えドラゴンズ」を持ちこんだものの、相手にされず意気消沈。父を不憫に思った娘さん(ラジオネーム:どらりんこさん)がCBCラジオ「つボイノリオの聞けば聞くほど」に、そのカセットテープと、父を想う手紙を届けた。手紙を紹介すると共に番組で曲をかけたところ、呪文のような歌声と不思議なドラム音につボイ・小高アナウンサーはじめリスナーもただただ驚愕。数回かけているうちにクセになり、度々かけるようになる。

「この曲をかけると勝つ!」「いや負ける!」など、リスナーの間で話題となり、盛り上がる。ドラゴンズファンはもちろんご存知であろう。その年は星野政権二度目のリーグ優勝を遂げた年。これでリスナーはドラゴンズおやじの信者と化した。翌2000年にはここ一番という大事な試合前には必ず「戦えドラゴンズ」を流すようになった。ただ哀しいかな、野球は勝負事。絶対勝つわけがない。日が経つこどにリスナーからは賛否両論のFAXがジャンジャンと届いた。「かけると勝つ」「かけると負ける」……ただ勝負以外に「怖い」「面白い」など他の意味でも反響が大きく、この年も大いに盛り上がる結果となった。気をよくしたドラゴンズおやじは2001年から、シーズンが始まると新曲を持って(もちろんカセットテープ録音)CBCに届けてくれるようになり、これより数年間にわたり多くの曲を紹介していったそうだ。ちなみに曲のタイトルは、

☆戦えドラゴンズ
☆打ち破れドラゴンズ
☆星の(星野)輝くドラゴンズ
☆俺のゆく道
☆我らが愛するドラゴンズ
など多数。

 およそ5年に及ぶ曲作りが続いたものの、ドラゴンズおやじが“打楽器”として使っていた自宅の洗濯機の買い替えにより作曲ができなくなり(笑)、新曲が作られることはなくなった……。

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