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【ソフトバンク】10年前のドラフト1巡目・大場翔太の次なる挑戦

文春野球コラム ペナントレース2017

2017/10/10
note

大場翔太が競輪挑戦を決意した理由

「ばーさん久しぶり! 競輪選手目指すんだねっすごいね! でもあの強肩を活かせんの残念だわー」

 って言ったら「確かに惜しいね〜!(笑)でも今、一生懸命練習してるし、なれるように頑張るよ!」

 と。いつもの元気な声が返ってきて、本当嬉しくてすごく安心したのを鮮明に覚えています。

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 それからたまに馬渕さんから大場くんの練習風景や近況報告が来て、それをみる度にどれだけ勇気を貰ったか。

 転んでも、怪我しても、ひたむきに頑張る姿勢はホークスの時と何も変わっていませんでした。

 今回文春野球の最後のコラムで“戦力外”をテーマに書く、となった時。決してマイナスなことは書きたくありませんでした。

 どんなに大好きな野球人生が終わったとしても、前を向いてまたスタートすればきっと良い事がある! また夢は繋がるんだ! これは綺麗事なんかじゃないってことを証明しようと努力している人がいるんだ! って事を伝えたかったから、大場くんに取材を申請しました。

 本人に曰く、まだスタート地点(競輪選手)にも立ってない自分が取材を受けるのはおこがましいから。と。テレビやほとんど取材は断ってきた中で、今回この文春野球コラム、みなみちゃんが書くならいいよ。って言ってくれたから、大切に書いてたくさんの方に伝えたいと思いました。

 私も当時聞けなかった、野球を辞めてからの約半年間。ゆっくり自分を見つめ直していたと言います。その中で、前から〝競輪選手に向いている〟と競輪関係の先輩に言われていた言葉がずっと心にひっかかっていたそうです。

 そんな年末のある日、入ったご飯屋さんでたまたま隣のテーブルにいたのが、今のトレーナーの馬渕さんというなんとも運命的な出会い!

 馬渕さんも競輪選手を目指すまでは野球少年(享栄高校出身!)。その境遇が自分と重なる所があり、面倒を見るからいつでも声掛けて。と。大場くんは悩んで悩んで、今年の4月に「挑戦したいです!」と決意し、トレーニングを本格的に開始。

 半年もブランクがあったけど、どんどん脚力がついて、思い通りに動けるようになってきたとか。

トレーニング中の大場翔太 提供/松中みなみ

 まず目標は競輪学校の入学試験! 二次試験は11月下旬。あと1ヶ月と少し。

とても狭き門だけど、馬渕さんは「彼のやる気モードに入った時の戦闘意欲や勝負根性はさすが! 絶対良い選手になる!」と太鼓判を押していました。

 当の大場くんは「今は黙々と1人でトレーニングをする日々で競争相手がいないから比較が出来ない」と。

現役時代の大場。通算成績は15勝21敗だった ©文藝春秋

 ホークス時代、〝宇宙人〟と呼ばれてたけど、意外にも私はそれを感じたことがなく、すごく現実的でストイックで完璧主義者だなって。

 決しておごることのない大場くんだからこその言葉。

 きっと入学試験に受かって、いつか活躍する選手になると私は信じてます! その時はまた取材をさせて下さい(^-^)/

 プロ野球選手を辞めて、家庭をしっかり守っていこうと働く人もいれば、大場くんのように、まだ独身! 失うものはないぞ!! と、がむしゃらに頑張る人もいる。

 どんな形であれ、第2の人生をより良くしようと頑張ってるそんな姿を知ったら、応援せずにはいられないんじゃないでしょうか?

 みなみは心の中でずっとメガホンを叩いてエールを送ります。かっとばせーー☆\(^-^)/☆

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※「文春野球コラム ペナントレース2017」実施中。この企画は、12人の執筆者がひいきの球団を担当し、野球コラムで戦うペナントレースです。コラムがおもしろいと思ったらオリジナルサイト http://bunshun.jp/articles/4468 でHITボタンを押してください。

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