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「差別ですよ」「それならもう携帯はいらない」ガラケーサービス終了に抗議する愛用者の「言い分」

2021/05/17
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 携帯料金の値下げやデジタル庁の創設を推進している菅首相が、じつはガラケー(旧来型の携帯電話)の愛用者だというのは大手紙で何度も記事になっている有名な話だ。自民党の二階幹事長など、ほかにもガラケー愛用者の政治家はたくさんいるという。

 身の回りを見ても中高年世代を中心にガラケーにこだわる人は意外と多く、いまだに携帯電話の契約総数の1割をガラケーが占めている。もちろん、スマホに比べるとガラケーは圧倒的に少数派なのだが、一部の人々からは根強い支持があるようなのだ。

 とはいえ、5G時代に移行しつつあるなかで、なぜいまどきガラケーなのか。昔ながらの携帯を使い続ける2人の愛用者に「ガラケーにこだわる理由」を聞いてみた。(取材・文=押尾ダン/清談社)

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同世代が「LINEの既読」で大騒ぎ

 ヤクルトの営業所でマネージャーをしている内山貴子さん(仮名、61歳)は、およそ30年間ガラケーを使い続けている。10年余り前にスマホが本格的に普及し始めたとき、夫や周囲の友人たちはどんどんスマホに切り替えていったが、内山さんはガラケーにこだわった。理由はいたってシンプルで、「スマホの操作を覚えるのが面倒」だからだ。

「年齢的なものもあるのかもしれませんが、私すごく面倒くさがり屋なんですよ。イチから操作を覚えなくてもいいように、ガラケーも同じメーカーのものを何十年も使い続けています。メーカーが同じなら操作もだいたい同じじゃないですか。だから、バッテリーが劣化したり本体が壊れたりしたら、毎回必ず同じメーカーのものに買い換えるんです」

 たしかに中高年世代にとってスマホの操作は面倒くさい。覚えるためには「アプリ」「アカウント」「インストール」といったカタカナ語とも向き合わなければいけない。

 その一方、スマホにはガラケーにない便利さがあるのも事実。たとえば、LINEなら電話よりも手軽に家族や友人とコミュニケーションがとれるし、知りたいことはインターネットで検索すればすぐわかる。地図アプリを使えば旅行先で道に迷うこともないのだ。

「よく『LINE使えないと不便でしょ』と聞かれるんですが、私はあんなもの煩わしいだけだと思うんです。グループLINEってあるじゃないですか。周囲の同世代の友だちが『既読がつかない』『返信がない』っていつも大騒ぎしているんです。それを聞いているだけでも煩わしいなって感じますね。だったら最初からスマホなんて持たないほうがいい。

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 地図アプリも私には必要ありません。ヤクルトレディという仕事柄、住所さえわかればどこにでも行けちゃうんですよ。旅行が趣味なので日本全国いろんな場所に行きますが、スマホに案内してもらうより地図を片手に歩くほうが楽しい。心に焼き付けておくタイプなので写真も撮りません。だから、ガラケーでもほとんど不便さを感じないんです」