昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

連載尾木のママで

尾木 直樹
2016/06/16

ブログ炎上の背景

source : 週刊文春 2016年6月23日号

genre : ライフ, 教育

 

 北海道の男児置き去り。ボクはすごく心配で、連日経過を追いブログで発信し続けていました。田野岡大和くんが無事発見され心底ホッと安堵しました。

 ボクのブログが炎上していると知ったのはその翌日。ネットニュースの記事を見ると、「尾木直樹氏に対するバッシングがネット上で過熱」「『(本当に置き去りなのか)疑いたくなってしまいます』『間違いなく逮捕される』などと親への批判をブログで繰り返していた」とか!? 確かにこの記事だけ読むと、本人のボクでも酷い奴、と嫌な気分になるほど。でも、文言こそブログの抜粋に違いないのだけど、発言の文脈は全く違う。ボクの意図とはかけはなれた内容でした。

 ブログは二日間で百万件ものアクセスを記録。思わぬ展開に、少しでもお父さんのことを疑った、「行き過ぎた発言」について率直に謝罪しました。そして、ブログの厳しい表現だけが繋ぎ合わされ、真意とは違うかたちで広まったことについても弁明したんです。

元気に退院する田野岡大和くん。右は父貴之さん。本当に良かった!
Photo:Kyodo

 ボクの主張は初めから一貫していました。子どもを山中に置き去りにする行為は「しつけ」ではなく明確に「虐待」だということ。「しつけ」か「虐待」かを決めるのは愛情の有無ではない。原則論ではあるけど、子どもの人権を侵害していたら、それは即「虐待」。

 そう考えると、今回の親の行為は親の立場中心の「虐待」ですよ。事実、道警は両親を心理的虐待の疑いで児相に通告しました。

「しつけ」とは子どものセルフコントロール能力を育成する行為。親からの一方的な押しつけでなく、子どもの人格を尊重し、共感することがポイントなの。これを機に、その違いに目を向けてほしいなと思います。

 でも、ただ単に正義の剣を振るえばいいわけではない。とりわけネット上では伝え方への配慮が大切だと痛感させられたものです。