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城山 英巳
2017/10/24

“一強支配”習近平は毛沢東になれるのか?

習氏と王氏の微妙な距離感 ©共同通信社

 5年に一度の中国共産党大会は10月18日に開幕、25日に習近平指導部2期目の顔触れが判明する。

 中国最高指導者の任期は慣例で10年。本来は5年を終えた習総書記(64)の後任が今回決まり、習指導部はレームダック化に向かうのだが、北京はそういう空気ではない。党大会は2022年の3期目突入に向けて習氏が建国の父・毛沢東に近づくための政治イベントになりそうだ。

 党大会の最終準備を行う中央委員会総会が14日閉幕し、コミュニケには「習総書記の一連の重要講話精神と治国理政(国政運営)の新理念、新思想、新戦略」という表現が明記され、党大会で習氏の名を冠した指導理念が党規約に盛り込まれる見通しになった。党内には「習近平は毛沢東にはなれない」という抵抗感も強いが、1982年に廃止された「党主席」のポスト復活、3期連任も現実味を帯びる。

 一方で注目を集めるのは、習氏の「盟友」として反腐敗闘争を主導した王岐山党中央規律検査委書記(69)の人事だ。巷では退任意向の王氏に対して習氏が慰留を行っていると報じられるが、消息筋は「習氏は王氏を警戒している」と明かす。

 決断力と覚悟をもって任務を成し遂げる異才の指導者である王氏に寝首をかかれかねないと疑心暗鬼になっているという。

 事実、米国に逃亡した政商・郭文貴氏は4月、習氏の命令で中国公安次官から王氏の親族の不正を調べるよう要求されたと暴露している。

 党大会の焦点である最高指導部・政治局常務委人事における習氏の真の狙いは、裏切らずにひれ伏す側近で脇を固めることだ。次期トップの有力候補だった孫政才・前重慶市党委書記が突然失脚したのも、習氏の「『後継』への不安の表れ」(中国筋)という。習氏の子飼い・陳敏爾・重慶市党委書記や胡春華・広東省党委書記の常務委入りがささやかれるが、習氏は内外で「後継」を認定したと受け止められる人事は行わないだろう。

 5年前の就任以来、反腐敗闘争で政敵を潰し、言論弾圧で異論を封じ込める特異な政治手法で絶対的指導者に上り詰めた習氏の「一強」支配は際立つ一方だ。