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連載近田春夫の考えるヒット

近田 春夫
2017/10/25

つんく提供のモー娘。新曲、聴きごたえはあるけれど――近田春夫の考えるヒット

『邪魔しないで Here We Go!』(モーニング娘。'17)/『Eternal Love』(EXILE TAKAHIRO)

絵=安斎肇

 たとえばチャート誌のランキングであったりと、数字を眺める限り、我が女子アイドル界、決して勢いを落としてきている訳ではないようにも映るが、“国民的大ヒット”的視点ではどうなのか?

 ここ1~2年その界隈にて発表されたシングル群全体を見渡しても、フレーズなりタイトルなり、少なくとも俺にはパッとアタマに浮かぶようなものがほとんどない。

 本日はそんな前段を踏んまえ、モーニング娘。’17の新譜、作詞作曲に堂々つんく♂の名も眩しく輝く『邪魔しないで Here We Go!』の試聴感想でもって御機嫌のひとつも伺おうかてぇ趣向。どうかよろしくお付き合いの程を。

 冒頭にはセリフが入ったりして、一瞬ビートのないスローナンバーなのかなとも思ったのだが、トラックは、最近の風潮というか、EDM以降に多くみられる、遅めでかつ、ワザ/スキルを聴かせる系のヒップホップスタイルのものになっている。そこに乗るメロディだが、デスティニーズ・チャイルドとかがブームだった頃のR&Bの匂いもするし、そのもう少し前のあたりのクラブ系にもこんな感じのがあったかなと思わせるような作りで、つんく♂作の中では玄人受け狙いといってもいいダークな路線である。

邪魔しないで Here We Go!/モーニング娘。'17(アップフロントワークス)作詞作曲:つんく。メンバーの卒業によせてつくられたという。

 いずれにせよアレンジャー(大久保薫という人)はこの難しいテンポを上手く調理し着地させたと思う。

 そうしたことも含め、音楽性に関しては、ちゃんとした聴きごたえのある作品に違いないのだが、歌詞はどうなのだろう? たしかにここで歌われているのは、新しい世界に羽ばたこうとする姿勢ではあるのだが、過去に対する後悔みたいなものがそれ以上に強く押し出されているキライがない訳ではない。それが重めのサウンドと相まって、聴いていると、率直に申して、俺はあまり楽しい気分にはなれなかったのである。

 勿論ここに醸し出されている、いささか屈折したようなよどんだ空気は、プロデューサーの確信犯的な計算/方向付けの結果、産物と分からないではない。ただ、そうした世界を――いってみれば“パペット”である――彼女たちに歌わせてしまうということに、俺はね、一抹の辛さというか、哀れのようなものを覚えてしまうのよ。みなさんはそこんとこ如何ですか? てかこの歌詞、出来るものならば、今のつんく♂の歌で是非とも聴いてみたいと、そう思いません? そうしたら、もの凄いポジティブなメッセージソングになる気がして……。

 おっと話がそれてきた。このところ女子アイドルの歌には、あっちもこっちももう超ノー天気っていうの先ずないすよね。そこで今こそ、つんく♂は、やんなっちゃうぐらい下世話で明るーいヤツ書くべきよって思ってる音楽ファン、きっとた~くさんいるって俺は踏んでるんだけどね!

Eternal Love/EXILE TAKAHIRO(エイベックス)「武井咲との妊娠結婚発表」ニュースについての記憶も新しいこのタイミング。

 TAKAHIRO。

 これは限定でジャケットに「寿」って書いて熨斗(のし)をつけて売る! だね(笑)もう。

今週の総選挙!「素朴な疑問なんだけど、昔ラジオとか葉書で人気投票とかやっていたときにさ、募集のお報せの最後に“なお組織票は無効です”って出していたけど、いま国会選挙って組織票だらけだよね。それって、民主主義の理想に反しているんじゃないのかな」と近田春夫氏。「少なくとも、おかしいのではという気持ちは、みな持って欲しいよね」