昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

小石 輝
2017/10/28

『ブレードランナー2049』を100倍楽しむ方法を、非オタク女子に伝授する #予習編

サブカルスナイパー・小石輝の「サバイバルのための教養」

「史上最高のカルトムービー」とされる「ブレードランナー」の35年ぶりの続編「ブレードランナー2049」がいよいよ公開された。小石輝と新登場の相棒・恋ちゃんが、「『2049』を観る前に知っておくべき旧作のすごさ」をディープに語り合う!

◆◆◆

恋ちゃん(オタク度ゼロ%の大手マスコミ若手社員。ちょっと生意気だけど社内の人気者。以下、恋)「ねえ。小石さんってオタクだから、『ブレードランナー』にもくわしいんでしょ」

小石(恋ちゃんの先輩。仕事はできるが、自我をこじらせ気味で、恋ちゃんによくいじられる。以下、小)「当たり前や。オレの人生はブレードランナー(ブレラン)抜きには語れん。『ノーブレラン・ノーライフ』と言ってもええぐらいや」

「何ですかそれ!? まあいいや。私、『ブレードランナー2049』を観に行きたいんですよ」

「君にしては殊勝な心がけやな。ついにミーハー路線から卒業か!?」

「違います。『ラ・ラ・ランド』を観て、ライアン・ゴズリングにはまっちゃったんですよ。ライアンは『2049』でも主役だけど、『2049』って、前作のブレラン観ていないと楽しめないんでしょう?」

 

「まあ、前作を未見のまま観るのはちょっと無謀やな。物語から置いてけぼりにされかねん」

「だけど、今さら30年以上前の作品を通しで観るのは面倒くさいんですよ。雰囲気暗そうだし」

「はぁ。SF映画史上に燦然と輝く超傑作を『暗い』の一言で片付けるとはなあ。君にはかなわんわ。で、オレに前作の解説をさせて、『2049』の予習をしようってわけか」

「そういうこと。小石さんなら表面嫌々なふりをして、実は大喜びで語ってくれそうだから」

「……(完全に見透かされて、ぐうの音もでない)。まあ、ええわ。『2049』を観たら、絶対に旧ブレランも観たくなるやろうからな」

「ということは、『2049』もおもしろいってことですね!」

「すごく広がりがあって、深くて、そして切ない。特にラストは、オレのように旧ブレランのビデオやDVDをすり切れるぐらい観てきた人間にとっては、胸がいっぱいになって涙するしかない。見終わった途端に忘れてしまうスカスカ映画も多いご時世にあって、この映画は逆に、日がたつにつれてますます心の奥に染みこんでくるわ」

「それって実は、最上級の褒め言葉では!?」

「『2049』は、旧ブレランを土台としてさらなる高みに達した、というのがオレの見方や。前作がものすごくよくできていたからこそ、そして今作の才能あふれる作り手たちが、前作を愛し抜いていたからこそ、実現できた境地やろう」

「小石さんは、同じドゥニ・ヴィルヌーブ監督の『メッセージ』も絶賛してましたからね。で、前のブレードランナーってどんなお話だったんですか」