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朴承珉
2017/11/01

韓国・朴槿恵の“獄中生活”が話題 山岡荘八の『徳川家康』を愛読中

公判に臨む朴氏 ©共同通信社

「裁判部を信頼することは、もはや意味がないという結論に達した」

 10月16日、韓国の朴槿恵・前大統領が法廷で口を開いた。サムスンからの収賄容疑など18の嫌疑で4月17日に拘束起訴されて以来、初めてのことだ。さらに朴氏は、次のように述べた。

「法治の名を借りた政治報復には私をもって終止符が打たれてほしい」

 一連の発言は、事実上の裁判ボイコットと受け止められているが、一方で朴氏の6カ月間の“獄中生活”が注目を集めている。

 朴氏が寝起きしているのは、10.6平方メートルの独房だ。最初は食事が口に合わなかったのか半分くらいはいつも残したという。施設が老朽化したとし、新しい壁紙に貼り替えてほしいと要請したこともある。現在は拘置所の所長と10日に1回、定期的に面会しているようだ。

 裁判が開かれていないときは、山岡荘八の『徳川家康』(韓国版の書名は、『大望』)を読んで時間を過ごすという。『大望』は韓国では1970年に全12巻で出版された。父の故・朴正熙元大統領の愛読書でもあった。

 朴氏は、韓国最大の祝日である秋夕(チュソク)のときも、父の業績が描かれた映画『国際市場で逢いましょう』をテレビで鑑賞。大統領時代、この映画を主演俳優らと見た際も、何度も涙したという。

 父の思い出に浸る一方で、妹や弟など家族との面会は拒否。面会拒否リストに名前を挙げている。

 獄中でも“孤独の女王”は健在だが、裁判ボイコット発言の後、弁護団7人は全員辞任。裁判部は国選弁護士を選任して裁判を進行しようとしているが、今後、朴氏はどう動くのか。

「朴氏は19日の裁判を病気を理由に欠席しましたが、このまま裁判を引き延ばして、病気保釈を申請するのでは。“この裁判は政治報復だ”という主張で、支持層に訴える戦略のようです」(韓国紙記者)

 朴氏が『大望』を読んでいることについて、朴氏の側近は「自分を徳川家康に投影しているようだ」と話す。

「鳴くまで待とう」の心境の朴氏の身柄は最長で来年4月16日まで拘束される。奇しくもこの日はセウォル号沈没の日である。