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デビューは9歳 “天才”伊藤沙莉が語る「ダウンタウン浜田さんに叩かれた“聖なるゾーン”」

「テレビっ子」伊藤沙莉インタビュー#1

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浜田さんに叩かれた“聖なるゾーン”

―― 先ほど、ビデオとかも、とおっしゃっていましたけど、それは昔のドラマを観てたんですか?

伊藤 ドラマもそうですけど、とにかく『(ダウンタウンの)ごっつええ感じ』。私の笑いの“面白”の基準は、これで定まった感じですね。お兄ちゃんとずっと観てました。

―― その中で印象に残っているコントってありますか。

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伊藤 私は「おかんとマー君」と、あと「しょうた!」っていう、松本(人志)さんがお墓からパーンと出てくるやつ。

 

―― 覚えてますねー(笑)。

伊藤 ホントに好きで! 『ひとりごっつ』の大喜利みたいなのもすごい好きで。松本さんが投稿に対して、大喜利的に返すみたいなやつがあったんです。「車を運転してる時に窓から腕をカッコつけて出したいんだけど、ただ出すんじゃ面白くないから、なにかありませんか?」っていうお題に対してひたすら返すっていうの、よく覚えてます。腕に芝生をいっぱいつけて、牛の小さいフィギュアみたいなのをつけて、腕牧場になっている、というのがホントに面白くて。それはいまだにフワッという瞬間に思い出したりします。あれっ、今なんで「腕牧場」が出てきたんだろうなって(笑)。

―― 記憶に植えつけられてるんですね。

伊藤 そうそう、植えつけられちゃって、腕牧場が出てくると「また頑張ろう!」みたいな気持ちになる(笑)。今でも『ごっつ』は、リフレッシュしたい時に借りて観てます。

―― 松本さんの世界観に伊藤さんの感性がフィットしたんですかね。

伊藤 大好きなんですよ。私の好きなコントやネタ、ここで全部言いたいぐらいなんですけど。『ごっつ』とか観ちゃうと、出演されてた方々は「神」じゃないですか。だから篠原(涼子)さんが女優として『カバチタレ!』に警官役で出演された時も夢中で観ていましたし、あとつい最近、『浜ちゃんが!』という番組に呼んでいただいたんです。大変なんですよ。だって浜田(雅功)さんですよ。「神、目の前にしてもう何すりゃいいんだよ!」っていう感じ。だから浜田さんに頭叩かれたら、もうここ(叩かれた部分)は“聖なるゾーン”になるんです。

 

声が障害になった瞬間

―― あははは。『ごっつ』のメンバーで共演された方は他にいますか?

伊藤 『トランジットガールズ』というドラマで、YOUさんがお母さん役でした。もう亡くなってる設定だったんで絡みはないんですけど、私と親子写真を撮るときにご一緒しました。

―― じゃあ、そのときにお会いして。

伊藤 やっぱり声について言われました。(YOUのモノマネで)「声、ヤバいね」って。

―― あはは。

伊藤 『浜ちゃんが!』に出させていただいた時に、私、浜田さんの前で恐縮しながらYOUさんのモノマネをしたんです。「似てるで」って言われました。

―― すごい! 伊藤さんの声は特徴的ですけど、最初はコンプレックスではありませんでしたか?

伊藤 それはコンプレックスでした。小学生ぐらいまでは、みんなが「面白いね、面白いね」って言ってくれることが、むしろ喜びとか自信ぐらいな感じだったんです。でも、中学生くらいから段々、「何、この声?」みたいな感じになってきて。歌もかわいい歌を歌えないし、ちょっとかわいいセリフを言おうもんなら自分でゾッとするし。2年前に『トランジットガールズ』でヒロイン的な役(※義姉と恋する役柄)をいただいたんですが、役柄には「かわいらしさ」が必要だったので、自分の声が邪魔でした。甘えているように見せたいのに、そう見せられない。ちょっと強く言うと怒っているように聞こえてしまう。一気に自分の声に向き合わされました。声が武器ではなく、障害になった瞬間でしたね。