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“ハマの番長”から後輩投手たちへ───三浦大輔×佐藤多佳子 横浜DeNA球愛対談 ♯2

“ハマの番長”から後輩投手たちへ───三浦大輔×佐藤多佳子 横浜DeNA球愛対談 ♯2

日本シリーズ進出記念特別再録

番長から三嶋、石田、山﨑、熊原 後輩投手たちへ

佐藤 一緒にトレーニングをされていた若手の方への期待を、最後に一言ずつお願いします。

三浦 三嶋一輝は入団からずっと一緒にトレーニングをしてきて、いい時もあれば結果が出なかった時もあります。僕の中では物足りない歯がゆさもあるんですけど、ストレートもスライダーもキレはいいものを持っているので、力を入れるポイントを一定にすれば、もっと安定感も出てくるはずです。本人も一生懸命やっているし、今年は何とか飛躍の年にしてほしいですね。

 3年目の石田健大は早々に開幕投手に選ばれて、本人にとってもいい経験だと思います。ルーキーイヤーは肩を痛めて同期が活躍する中、後半からしかマウンドに上がれない悔しさを味わって、昨年はいちばんプレッシャーのかかるCSでもきっちり投げて結果を残した。度胸もあると思うので、遠慮することなく、俺が投手陣を引っ張っていくんだという気持で1年間をやってほしいと思います。

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 山﨑康晃は1年目からチーム事情で抑えに抜擢されながら、それに見事に応えましたけど、去年は不安定なところも1年目より出てきた。それはアマチュアと違って、プロは移動したり、ホテル暮らしがある生活が半年続いて、そこをどう過ごしてクローザーとしてのスタミナをどう保つかなんです。もう少し自分を厳しく追い込んでいかないと、3年目4年目もそのまま出来るという甘い世界じゃないですからね。みんな期待しているので、最後は山﨑しかいないんだと思われるようになってほしい。

 熊原健人は2年目で、今年初めて練習しましたけど、フォームが独特で直さないといけないところが沢山あるんです。でもそれを枠にあんまりはめてもいけない。ポテンシャルはすごくあるし、体力もある。しかも真面目なんですけれど、覚えはあんまり良くない(笑)。ただ、「これをしなさい」と言われたら、それを素直に根気強く身につけるまでやる心を持っているので、こういう選手は一度覚えたことはずっと忘れません。しっかり土台を作ってあげれば、いい投手になるはずですから、先輩たちに追いつけ追い越せで、色んなことを学んでいってほしいと思います。

佐藤 ますますシーズンが楽しみになりました。今日は本当にありがとうございました。

三浦大輔(みうらだいすけ) 1973年奈良県生まれ。92年高田商業からドラフト6位で横浜大洋ホエールズに入団。172勝を挙げ2016年引退。現在は解説者。

佐藤多佳子(さとうたかこ)  東京生まれ。1998年「サマータイム」でデビュー。『一瞬の風になれ』で本屋大賞と吉川英治文学新人賞。ノンフィクションに『夏から夏へ』。今年5月、『明るい夜に出かけて』で山本周五郎賞を受賞。

オール讀物 2017年 04 月号 [雑誌]

文藝春秋
2017年3月22日 発売

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