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森岡 英樹
2017/11/06

不祥事で神戸製鋼はどうなる? 新たなる鉄鋼業界再編の行方

川崎博也社長が二度目の謝罪会見 ©共同通信社

 国内高炉3位の神戸製鋼所によるデータ改ざん問題は、底なしの様相を呈しつつある。

 当初のアルミ・銅事業から、本丸の鉄鋼事業にも波及し、グループ全体に不正が蔓延していたことが明らかになった。

 不正製品の納入先は500社に膨れ上がり、26日には日本工業規格(JIS)認証の取り消しを受けた。

「すぐに経営危機とはならないが、国内外企業や投資家からの損害賠償も想定され、2期連続赤字の同社には大打撃となる」(メガバンク幹部)

 神戸製鋼の財務内容を見てみると、今年3月末時点の有利子負債は約7900億円なのに対し、現預金などが約2000億円ある。

 ただ、今年度に返済しなければならない額は約2400億円。信用低下に伴い、社債の借り換えは難しく、銀行融資が命綱となる。

「既にメインバンクのみずほ銀行は支援を表明しています。みずほは、神戸製鋼の大株主であり、OBも役員として入っている」(同前)

 鉄鉱石を溶かして鉄を作る高炉メーカーは、今や3グループに集約されている。

「新日鉄と住友金属工業が統合して新日鉄住金、日本鋼管と川崎製鉄が統合してJFEが誕生した際も、神戸製鋼には相手がいなかった。ただ、2社に大きく引き離され、不祥事が発覚した今、単独での生き残りは難しくなりつつある」(経済部記者)

 そこで、みずほがメインバンクのJFEとの統合が浮上するのだが、

「以前の統合劇でもお声がかからなかった神戸製鋼と今さら組むメリットが見出しにくい」(同前)

 世界レベルでは高い技術を持つ神戸製鋼だけに、海外からの買収提案も予想される。

「『鉄は国家なり』と言われるように、技術流出への警戒感は東芝やシャープどころではない。さらに、神戸製鋼は安倍晋三首相が以前勤めていた会社です。政府が許さないでしょう」(同前)

 最後の防波堤となるかもしれないのが、

「盟主・新日鉄住金です。神戸製鋼の株を約3%保有しており、海外に買収されるくらいなら、と乗り出す可能性がある」(鉄鋼業界関係者)

 不祥事は新たなる鉄鋼業界再編の号砲となるか。