昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

連載THIS WEEK

森岡 英樹
2016/06/09

日中同盟で米に対抗
ソフトバンク孫氏の兵法

source : 週刊文春 2016年6月16日号

genre : ビジネス, 企業

現在、借金は約12兆円
Photo:Kyodo

 ソフトバンクグループの孫正義社長(58)が、矢継ぎ早に資産売却に動いている。1日に中国の電子商取引最大手のアリババ集団の株売却を発表したかと思えば、3日深夜にはパズドラで知られるゲーム会社・ガンホーの株を9割売却することも明らかにした。資金調達額は100億ドル(約1兆900億円)を超える。

「豆腐と同じように1兆(丁)、2兆(丁)とお金を数えると言われる」(大手証券幹部)孫氏の狙いを、金融関係者がこう解説する。

「買収で勢力を拡大してきた孫氏だけに、投資先が見つかったと見られている」

 追い風も吹いた。最大のアキレス腱となっていた米携帯子会社スプリントの復調だ。

 2013年に1兆8000億円を投じて買収したスプリントは、当初目指していたTモバイル買収がアメリカ当局に拒否されたことで、アメリカの携帯市場制覇を狙った孫氏の目論みは頓挫。販売数もTモバイルに抜かれ4位に転落し、「このままでは(スプリントは)潰れると我々ですら心配していた」(孫氏・5月10日の決算説明会)ほどだった。

 それが、リストラ効果が出て9年ぶりに黒字化したことで、孫氏は動きやすくなった。

「米ヤフーが売却に動いているヤフー・ジャパン株(35%)が狙いでは。既に株式の43%を所有する筆頭株主だが、アメリカ通信大手のベライゾンが触手を伸ばしている。競合他社に拒否権を持たれるのは看過できないはず」(市場関係者)

 まず一族を固め、中国(アリババ)と組んで、当面の敵であるアメリカの通信王手と対抗するという戦略だ。

「株を売却したガンホーは実弟の孫泰蔵氏が役員を務める身内企業で、関係性に影響はない。また、アリババは売却後も27%の株式を保有する持ち分法適用会社のまま。アリババは創業時に、孫氏がジャック・マー会長の希望より一桁多い金額を出資したことで信頼関係を築き、現在はソフトバンクの取締役として密な関係は続いている」(同前)

 福岡のコンピュータ卸から、「真田丸」ばりの合従連衡で、世界企業にのし上がった孫氏。そう言えば真田丸の主人公を演じる堺雅人はソフトバンクのCMでこう連呼していた。「ソフトバンクはナンバー1を目指す」と。

はてなブックマークに追加