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鈴木 一人
2017/11/09

トランプ大統領の訪日は、アメリカでどう報じられたか

「ネタ」扱いは多かったが……

 11月5~7日の2泊3日の日程で日本を訪れたトランプ大統領。日本での報道は、ある種の「トランプフィーバー」とでも言えるような過熱ぶりで、横田基地からゴルフ場までのヘリでの移動をずっと追跡したり、皇居から迎賓館までの移動を追いかけるなど、その一挙手一投足にまで目を凝らした報道がなされた。

ヘリに乗り込むトランプ大統領 米空軍横田基地HPより

 しかし、トランプ大統領の地元アメリカでは、かなり冷めた報道が多かった。特にトランプ大統領の来日と同時に公表された「パラダイス文書」にロス商務長官の名が出ており、トランプ政権のロシアゲート疑惑が一層濃くなったこと、また、滞在中にテキサス州の小さな町の教会で銃の乱射事件があり、そちらが大きく報じられたことなども原因としては大きい。

 米メディアは伝統的に大統領の外遊に関心が薄いという側面もある。日米、米韓首脳の共同記者会見ともに、米メディアからの質問にはテキサス州での銃乱射事件に関わる質問が出ていた。そんな中で何が話題になったのであろうか。

イヴァンカ大統領補佐官の警備がジェンダー問題に

 まず大きく取り上げられたのは、大統領に先立って来日したイヴァンカ大統領補佐官に対する日本の反応である。イヴァンカさんが出席したのは国際女性会議であり、日米関係の公式行事ではなかったが、安倍首相がホスト役となり、また日本政府が世界銀行の女性起業家支援ファンドへの出資を決めたこともあり、非常に大きな注目を浴びたことを各紙が報じている(Japan is all abuzz about the arrival of a Trump: Ivanka Trump, Washington Post, Nov. 3)。

国際女性会議でスピーチするイヴァンカ大統領補佐官 ©雑誌協会代表

 そのイヴァンカさんの警備が全て女性警察官によるもので、ジェンダー問題を考えると適切かどうかといった記事もある(The all-female police force guarding Ivanka Trump in Japan is actually kind of sexist, Washington Post, Nov. 3)。さらに、トランプ政権に批判的なメディアは、そのイヴァンカさんが出席した会議の参加者が少なく、会場がガラガラだったことを揶揄する記事も出している(Ivanka Trump, a Media Darling in Japan, Draws Light Turnout in Tokyo, New York Times, Nov. 3)。

「ドナルドとシンゾーが同盟をより偉大にする」という帽子にサイン ©雑誌協会代表

 また、トランプ大統領に関しても、首脳会談以上に話題になったのは、ゴルフ場で「ドナルドとシンゾーが同盟をより偉大にする」という帽子にサインしたこと(Trump, Abe bond over golf and 'Make Alliance Even Greater' hats, ABC News, Nov. 5)や、晩餐会にピコ太郎が参加したこと(Donald Trump Met The ‘Pen Pineapple Apple Pen’ Guy And There Are Pictures, Huffpost, Nov. 7)、また迎賓館の池の鯉に餌をやる仕草が雑だったこと(Trump feeds fish, winds up pouring entire box of food into koi pond, CNN, Nov. 6)など、「ネタ」としての記事が多く見られ、深夜のトークショーでも「ネタ」はかなり取り上げられた(英国メディアだが、Guardian紙が「ネタ」の動画をまとめている)。