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池上 彰
2017/11/14

池上彰氏「今回のダルビッシュの反応は大人でした」――ワールドシリーズでの差別的言動

池上さんに聞いてみた。

Q ダルビッシュ投手に対する差別的な言動、ショックでした。

 ワールドシリーズ第3戦で、ユリエスキ・グリエル内野手がダルビッシュ有投手に対し、両手で目じりを引き上げ、アジア人を侮辱するようなポーズをとりました。さらにスペイン語で同じような言葉を口にしたそうで、ショックでした。スポーツマンシップからかけ離れた、こういった差別的な言動はどうすれば防止できると思いますか?(40代・男性・会社員)

A 他人を差別する意識をどれだけコントロールできるか、です。

 ワールドシリーズのテレビの中継中にやったので公になりましたが、日本人を含めアジア人は、よくこうした目にあいます。

 私もヨルダンのシリア難民キャンプを歩いていたら、シリア難民の子どもから、全く同じ仕打ちを受けました。難民たちの窮状を広く知ってもらおうと来たのにと、悲しくなりました。

 他人を差別する意識は、多かれ少なかれ多くの人が持っているのが実情です。それをどれだけコントロールできるか、です。

ダルビッシュ有投手

 考えてみると、グリエルはヒスパニック。アメリカでは白人から差別される立場です。差別される弱い立場の者が、さらに他人を差別する。差別には、こういう構造があります。シリア難民の子どもも、弱い立場。その立場にいると、自分より「劣った存在」を見つけて差別することで自分を優位に立たせようとする。これが現実です。

 その一方、豊かで教養あるインテリは、あからさまな差別表現をしてはいけないと自覚している。それだけの差に思えてしまいます。

 今回のダルビッシュの反応は大人でしたね。差別する側が恥をかくことになりました。差別をすると恥をかく。それを繰り返し、繰り返し教え、処罰する。それを続けていくしかないと思います。

 でも、それで表面的には露骨な差別が消えても、人の心の中は、なかなか変わらないのです。
 

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