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楠木 建
2017/11/21

スマホメディアで「罵詈雑言」を浴びる効用

楠木建の「好き」と「嫌い」 好き:ネットでの罵詈雑言 嫌い:ネットでの罵詈雑言

備忘録としてのツイッター

 あくまでも個人的な好き嫌いの話として聞いていただきたい。

 前回「フェイスブックはスキではないが、とある事情で抜けられない」という話をした。フェイスブックは放置状態だが、ツイッターのほうはわりと継続的に活用している。目的は情報収集や情報発信ではない。読んだ本や観た映画、聴いた音楽などをメモしておく。このためだけに使っている。備忘録なので、ツイッターを見るのはあくまでも自分。誰もフォローしていない。自分で自分だけに向けてツイートしている。

 読書と映画鑑賞、音楽演奏が趣味という徹頭徹尾文化系の私生活。アナログ寄りの僕でも映画や音楽は緩やかにデジタル・コンテンツ化が進んでいる。それでも、読書は相変わらずの紙の本。単に慣れの問題だとは思うが、電子書籍はほとんど使っていない。だいたい電子書籍は中古がないので、紙の本と比べて高い。

©iStock.com

 のべつ本を読んでいる。仕事場でも仕事のために本や論文や記事を読んでいるのだが、帰宅してからはいよいよ他にやることもない。そこで、趣味の読書となる。問題は本の置き場だ。仕事とは別に年間数百冊は読むので、いくら書庫があっても足りない。

読み終わった本は即座に捨てる

 そこで、十数年前に方針を決定した。よほどのことがない限り、記憶に残しておきたいことをノートしておいて、読んだ本は即座に捨てる(もしくは中古書店に二束三文で売却する)。どうしても現物で残しておきたい本は30冊に1冊あるかないか。つまり、年に10冊程度である。本の置き場問題のソリューションとしてはこれに勝るものはない。

 こうなると、自分がどの本を読んだのかを記録しておくのが不可欠になる。後に読み返したくなったり、一部を仕事に使う必要性が出てくることもある。そうしたときのために、【本】というフラグを立てて、著者名と題名に一言感想を加えてツイートしておく。例えば、こういう具合。

【本】滝沢修『俳優の創造』。芸論には観る側に立ったものと演る側に立ったものがある。戦中に書かれたこれは後者。一流の芸論にして仕事論。実に勉強になった。仕事論はその分野で第一等の仕事をした人のものがいちばん。浅薄な自己啓発書とは桁が4つぐらい違う。さすがの言語表現能力。大変な知性。

 で、要所をノートに書き込み、ツイートしたら捨てる。この『俳優の創造』は素晴らしい内容の本だったのだが、もちろんすぐに捨てた。

 この読書記録、10年前はファイルを作ってPCでやっていたのだが、あるときからツイッターに移行した。ちょっとした空き時間にどこででも書き込めるツイッターは自分用の備忘録として実に便利である。

 映画も同じ。そのうちにどの映画を観たのか、自分でも分からなくなってくる。【映画】と文頭につけて、題名と短い感想をツイッターに書き込む。ラジオやYouTubeや手持ちの音源を聴いていてちょっと気になる音楽と出くわしたときも【音楽】としてツイートしておく。

 この手の趣味のメモとは別に、【仕事】というツイートもある。紙のメディアに書いたものはファイルしておくのだが、最近はウェブメディアに書くことも多い(例えばこの記事)。そのうちにどこに何を書いたのか分からなくなる。そこで、書いたものにリンクを貼ってツイートしておく。これがのちのち役に立つ。