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連載テレビ健康診断

『めちゃイケ』は出演者の人生そのものだった――てれびのスキマ「テレビ健康診断」

『めちゃ×2イケてるッ!』(フジテレビ)

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 本当に終わってしまうのか……。1996年から始まった『めちゃ×2イケてるッ!』の終了が遂に番組内で正式に発表された。この番組には、「もう賞味期限切れ」「最近つまらなくなった」などと散々言われていたが、後者に関して、見ていない人が言っているんだろうな、と思っていた。確かに3~4年前頃は、迷走していた感があったが、ここ1~2年は持ち直し、話題性と面白さを両立させた企画を安定して放送していた。それだけに終了は残念だ。

ナインティナイン ©getty

 終了の発表はこの番組らしいやり方だった。まずは“座長”である岡村隆史に総監督の片岡飛鳥が報告。「え?」「リアルなやつですか?」「えー」「おぉ……。びっくりしてますけど……」と戸惑いショックを受けるその瞬間をカメラに克明に映した。そう、『めちゃイケ』はすべてをドキュメントする番組だった。笑いも怒りも感動も、それに至るまでの過程をカメラに収めてきた。総監督は「悲しい話をしようと思って来たわけじゃない」と言う。「終活」ならぬ「シュウ活」と題して来春の終了まで前向きに盛り上げていこうというのだ。

 そして岡村が他のメンバーに報告していく姿をやはりカメラに記録していく。まずは早朝4時に相方の矢部浩之を電話で呼び出す。「『めちゃイケ』、終わります」と伝える岡村に「いやいや……そのカッコじゃないとアカン?」と第一声で冷静にツッコむ。岡村はショッカーっぽいコスプレグッズに身を包んでいたのだ。その後もメンバーそれぞれに伝えていくがその反応は三者三様。だが、それらのリアクションは、僕ら番組ファンにとって、「その人らしい」と思えるものだった。なぜなら、僕らは番組を通して彼らの人間性がよく分かっていた。『めちゃイケ』とは彼らの人生そのものを描いたドキュメント大河コントだったからだ。

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 まだ正式に発表されていないが『とんねるずのみなさんのおかげでした』も終了すると報じられている。もし本当なら80年代以降、脈々と継承されてきたフジテレビ的なタレント中心のお笑いバラエティがほぼすべて終了することになる。けれど、これらの終了を「打ち切り」とネガティブに報じるのは違和感がある。長年にわたり、「楽しくなければテレビじゃない」を標榜したフジテレビの「楽しさ」を牽引してきたのだ。これから半年間、大団円を迎える彼らの姿を目に焼き付けたい。

▼『めちゃ×2イケてるッ!』
フジテレビ 土 19:57~20:54

『めちゃイケ』は出演者の人生そのものだった――てれびのスキマ「テレビ健康診断」

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