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連載THIS WEEK

PTSD、視野狭窄、脳梗塞…
小金井ストーカー被害者の現在

source : 週刊文春 2016年12月29日号

genre : ニュース, 社会

公表された冨田真由さんの手記のコピー
Photo:Kyodo

 東京都小金井市で今年5月、音楽活動をする冨田真由さん(21)がファンの岩埼友宏被告(28、殺人未遂罪などで起訴)にめった刺しにされて瀕死の重傷を負った事件で、警視庁が今月16日、検証結果を公表。同日、冨田さんが手書きの手記を発表した。

《警察がこの事件のことを本当に反省してくれていないと、また同じことが繰り返されるのではないかと心配です》

 手記で冨田さんはそう訴えた。警視庁担当記者が言う。

「検証結果で警視庁は『恐怖心をくみ取り、早急に安全を確保する必要のある事案だった』と結論づけましたが、冨田さんが武蔵野署に『殺されるかもしれない』と相談したことについて、署員は『そのような言葉は聞いていない』と話していることも併記。そんな煮え切らない内容に、手記は痛烈な批判を投げかけていました」

 事件は5月、冨田さんが出演を控えた小金井市のライブハウス前で発生。冨田さんは前から武蔵野署にストーカー相談をしていたが、署はストーカー事件を扱う専門部署には報告しておらず、冨田さんの110番通報を受けた通信指令本部も現場ではなく自宅の方に急行するよう指示を出したことが判明した。

 手記では、事情聴取の冒頭から「本当に『殺されるかもしれない』と(事前に)言ったのか」と聞かれたり、謝罪に訪れた署長から「少し元気になられたようで」と心ない声をかけられたりしたことに、《怒りを通り越して、悲しみを感じています》と記し、最後まで警視庁に傷つけられたことが明らかにされた。

「広報対応も署がやったり本部がやったりで混乱。ミスの隠蔽に走っているとしか思えませんでした。検証結果では、事情聴取に応じたのが退院から2カ月後の11月となっており、冨田さんの不信感の根深さがうかがえます」(同前)

 冨田さんは出血多量に伴い脳梗塞を発症し、左目は視野狭窄状態。同じ空間に男性がいるだけで恐怖を覚え、公共交通機関にも付き添いなしでは乗れない心的外傷後ストレス障害(PTSD)に今も悩まされているという。

《事件に遭った日から時間が止まってしまったかのように、前に進むことが怖くなってしまいました》(手記より)

 音楽活動の再開にも目途が立たない状態が続いている。

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