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「和歌山に帰れ」「金儲けしか考えていない」富士急ハイランドへの“異例”の運行停止要請 背景には県知事と大臣一族の対立が…

「和歌山に帰れ」「金儲けしか考えていない」富士急ハイランドへの“異例”の運行停止要請 背景には県知事と大臣一族の対立が…

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  世界一の急加速で知られるジェットコースター「ド・ドドンパ」が有名な富士急ハイランドで、複数のアトラクションが11月29日に山梨県から異例の運行停止要請を受けた。

「背景には、富士急ハイランドを経営する堀内一族と、山梨県の長崎幸太郎知事の勢力争いがあると見られています。長崎氏は知事に転身する前の2005年から2017年にかけて、衆議院選で堀内一族と5回対決して3回落選しています。一方、堀内一族の堀内詔子氏は、国会議員としてワクチン接種推進担当大臣に就いています。長崎氏にしてみれば、富士急ハイランドの落ち度は、山梨県内での堀内一族の影響力を下げる千載一遇のチャンスだったのでしょう。

堀内詔子大臣、富士急ハイランド、長崎幸太郎知事

 しかし政治家同士が権力争いを繰り広げれば、迷惑を受けるのは観光業や飲食店などに従事する一般市民。『いい加減にしてくれ』と地元はうんざりしています」(全国紙記者)

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「すでに報告済」「安全性が確認できない」と対立

 山梨県富士吉田市に本社を構える富士急行は1926年の創業以降、数多くのグループ会社を抱え鉄道事業や宿泊事業を展開している。なかでも「富士急ハイランド」は、年間200万人以上が来園するグループのシンボルだ。その目玉である「ド・ドドンパ」などのジェットコースターでトラブルが起き始めたのは、2020年12月に遡る。

 ジェットコースターの利用客から、首や背中の骨を折るなどの重傷を負ったとの相談が富士急ハイランドに集まり始めたのだ。

 富士急行は「機器の異常や大きな過失、負傷との因果関係が確認されなかった」として県への報告や公表を見送っていたが、今年8月2日に4人目のけが人が発生したことをきっかけに、8月17日に県と国土交通省に事案を報告した。

富士急ハイランドHPより

 富士急行が8月21日に専用相談窓口を設置すると、メールや電話で集まった相談は176件。前述の4件を含めて、「ド・ドドンパ」で首や背中の骨を折るなどの重傷が6件と軽傷6件、「FUJIYAMA」と「ええじゃないか」では打撲などの軽傷がそれぞれ1件確認された。重傷者が出た「ド・ドドンパ」は8月12日以降、現在まで営業を停止している。

「窓口は10月20日に閉鎖されましたが、11月に入り新たに20代、40代の女性2人から『アトラクションで怪我をした』という連絡が富士急に入りました。富士急行は『園内施設の利用による外傷とは認められない』と県にメールで報告したが、県は担当者が来庁して直接説明するよう要請した。これを富士急行が『すでに報告済み』と拒否したことで、県は『施設の安全性が確認できない』と一部アトラクションの運行停止要請に踏み切ったんです。しかし富士急行は2人の女性について『怪我との因果関係は確認できず、建造物にも異常がない』とつっぱね、現在も通常営業を続けています」(同前)

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