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「EZ DO DANCEの大ヒットは嬉しくなかった」SAM60歳が語るTRF30周年…小室哲哉プロデュースから離れた“本当の理由”

TRF・SAMさんインタビュー #2

2022/01/13
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 今年、結成30周年を迎えたTRF。小室哲哉氏のプロデュースのもと、90年代のヒットチャートを席巻し、「ダンス&ボーカルグループ」の先駆けとなった。TRFの結成秘話を知るメンバーのSAMさん(60)に、チームの変遷と、「恩師で恩人」と語る小室氏とのエピソードを聞いた。(全3回の2回目/#3に続く)

日本工学院のダンスパフォーマンス科で学生に直接指導しているというSAMさん。学内のスタジオで

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TM NETWORKのこともよくわかってなかった

――約30年前、SAMさんをTRF加入へとつなげたのはグループの生みの親であり、プロデューサーの小室哲哉さんですか?

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SAMさん(以降、SAM) そうです。90年頃に放送されていた『ダンス!ダンス!ダンス!』という番組に出ていた僕を小室さんが見てくれたのがきっかけで、声をかけてもらいました。

――当時の小室さんといえばTM NETWORKで大人気でしたよね。SAMさんはどんな印象を持っていましたか。

SAM 実は僕、その頃ほとんどテレビを見ていなかったのでTM NETWORKのこともよくわかってなかったんです。ただ周りから「ポテトチップスの人だよ」と言われて理解して。当時「オー・ザック」のCMに小室さんが出ていたのを見たことがあったので、「ああ、あの人か」と(笑)。

 渋谷のクラブクアトロで『ダンス!ダンス!ダンス!』の卒業記念ライブをやったんですが、そこに小室さんが来てくれたのが初対面。(小声で再現しながら)「普段はどんな曲で踊ってるの?」と楽屋で聞かれて。小室さん、すごい声が小さいから聞こえにくいんですが、その場で「プロのダンサーとグループを作りたい」と打診をされました。

 

――それからすぐにTRFが結成されたのでしょうか。

SAM 「よろしくお願いします」と話してから2、3カ月、音沙汰がなくて。小室さんが多忙過ぎたせいか、1回連絡を取るとその後に数カ月は必ず間隔が開くんです(笑)。

 しかも次会うとなったときにも突然「赤坂プリンス、17時でいい?」と呼び出される。こちらが時間通りに行っても、小室さんは18時半に悠然と降りてくる(笑)。

――マイペースな方なんですね。

SAM こんなことを言うと自分勝手な人に見えてしまうかもしれないけど、小室さんってものすごいソフトで優しいんですよ。僕らが提案したことに「ノー」と言ったことは一度もないんじゃないかな。

――若い人の意見を積極的に取り入れると。

SAM そうかもしれないですね。当時クラブで毎週、僕がイベントをやっていたんですけど、そこにもふらっと遊びに来るんです。するとフロアの端っこの席に座って、若い子たちがどんな音に反応するか、どんなファッションで来ているか、じーっと見てるんです。

「TRFのメンバーは5人にできないかな」

クロムハーツのシルバーアクセサリーを身に着けているSAMさん。「ネックレスは知り合いのブランドなんですけど。いただいたもので」

――カルチャーの研究をされていたのかもしれませんが、周りがドキドキしちゃいますね。

SAM 誰もが小室さんだって気づくから、こっちも気が気じゃなかったです。「VIP席取れてるんで行きましょう」と言っても全然気にしないんです(笑)。

 ただ一度お願いというか、言われたことがあるのは、「TRFのメンバーは5人にできないかな」ということ。「人が名前を覚えられる限界って5人くらいだと思うから」と(笑)。結成当時はDJ2人にボーカル1人、ダンサー8人の計11人いた。だから『EZ DO DANCE』のジャケ写は10人写っています。

 ブレイクした後シーブリーズのCMに出たんですけど、他のメンバー数人が競合他社のCMに出てしまったことで、自然とメンバー減になりました(笑)。