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未来への安心を築く「資産運用」と「相続対策」

第1部 金融特集/第2部 相続特集

第1部 金融特集 人生100年時代を賢く生き抜く

低金利環境が恒常化する一方、年金制度の縮小が謳われる中、“貯蓄から投資へ”の流れが加速しつつある。ファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢氏が資産運用のポイントを解説する。

老後に向けた資産運用は非課税メリットを活用

 平均寿命は年々伸びており、我々の生活スタイルに変化をもたらしつつある。厚労省の発表によれば、2016年の男性の平均寿命は80.98歳、女性は87.14歳という。人生100年を想定した生き方を考え直す“ライフ・シフト”という言葉が表すように、長生きすること自体に備える必要があるようだ。

ファイナンシャルプランナー
風呂内 亜矢氏
2013年、ファイナンシャルプランナーとして独立。現在はテレビ、ラジオ、雑誌、新聞などで「お金に関する情報」を精力的に発信している。近著に「図解でわかる!投資信託」(秀和システム)などがある。

 ファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢氏は、「生涯のうち働いて収入を得る期間はおよそ40年です。仮に60歳以降働き続けても、100歳まで生きるとしたら、お金を使うだけの期間は20~30年に及びます。現役世代のうちに、どれだけセカンドライフに向けて対策できるかが問われています」と語る。

 こうした状況を踏まえて、政府は個人の資産形成を支援する制度の整備を進めている。その一つが、2018年1月からスタートするつみたてNISA(積み立て型の少額投資非課税制度)だ。つみたてNISAとは、毎年40万円の非課税投資枠の中であれば、積立投資から得た配当や譲渡益が非課税になる制度だ。制度の利用は最長20年間。制度をフルに活用すれば最大800万円の投資に対して税制優遇を受けることができる。「対象となる商品は、金融庁の厳しい要件によって選ばれた低リスクの投資信託や上場投資信託(ETF)などが中心です。そのため、商品選びに悩む投資初心者にとって始めやすい制度設計と言えます」(風呂内氏)。

 その他、節税しながら老後資金作りができる制度として注目を集めているのが個人型確定拠出年金(iDeCo=イデコ)だ。iDeCoとは、毎月掛金を拠出して、その資金を運用することで老後資金作りをする自分専用の年金制度だ。加入すると得られる節税メリットには、「掛金の全額が所得控除」や「運用益が非課税」、「給付時の控除」などがある。風呂内氏は「資産運用を始めやすい環境が整ってきています。制度を賢く活用して老後に備えたいものです」と語る。

 長期投資を想定している両制度の活用では、長く続けることが資産形成を成功させるポイントになる。そこで、金融商品を選ぶ際は、自分のリスク許容度に合った商品を選択したい。そうはいっても、何を基準に商品を選べばよいか分からない人であれば、ファイナンシャルプランナーや金融機関の窓口で相談するなどプロの意見を聞いてみてはどうだろう。最近では、ウェブ上で簡単な質問に答えるだけで自分に合った商品や投資方針を提案してくれるサービスなどもある。資産運用に関する知識に不安を感じる人は、活用してもよいだろう。

毎月の定期収入がセカンドライフを支える

 下の図表を見てほしい。これは、将来受け取れる年金収入から、老後の生活で必要とされる金額を合計したもの。最低限の老後生活を送るためには、現役世代のうちに2000万円程度の資金を準備しておく必要がある。

 

 風呂内氏は、「老後までに貯蓄を増やすことの他に、毎月の支出を抑えて、資産を減らさない努力も大切になります。例えば、老後に定期的な収入があれば、大きな蓄えがなくても無理なく生活が送れます」と語る。

 年金の他に老後生活の第2の収入源として有望なのが賃貸経営だ。経営が軌道に乗り安定的に賃料収入が入るようになれば、余裕を持ったセカンドライフを送ることができるだろう。ただし、賃貸経営や投資用物件として不動産を購入する場合には注意すべき点があるようだ。

 風呂内氏は、「外観の美しさや土地の魅力ばかりに目がいきがちですが、重要なのは、住居系不動産なら駅近のエリア、郊外立地ならテナント需要を意識した工場・倉庫タイプを選択するなど、用途と需要がマッチした物件選びです。また、周辺の家賃相場や見込める実質利回りなどを調べて、具体的な投資回収期間の見通しを立てることも大切になります」と指摘する。

 このように、セカンドライフに備えるための選択肢が多様化する中、積極的に資産形成を検討する人は増えている。「セカンドライフに必要な金額を考えれば、退職金の額が老後資金として十分とは言えないことが分かります。そこで、計画的な資産形成が求められますが、退職金のすべてを一度の投資に注ぎ込むのはいけません。資産形成はゆっくり時間をかけてお金を育てる技術ということを認識しましょう」と強調する。