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「あの作業をもう一度やるのか」と思うと辟易

―― ちなみに、奥さまは今回の訴訟について何かおっしゃっていましたか?

 青野 「私のおかげよ」って言ってます(笑)。「私が姓を変えなかったから、あなたはこんなに有名になっているのよ」と。まぁ、嘘ではないですね(笑)。

―― 裁判で勝訴した場合、青野さんは戸籍上も「青野」姓に戻しますか?

 青野 そこは当然いろいろな方から聞かれるんですが、「あの作業をもう一度やるのか」と思うと辟易する気持ちは正直ありますね(笑)。これから新しく結婚する方は選択できるようになりますが、すでに結婚している人はペーパー離婚が必要になるかもしれないのですし、ちょっと考え中です。

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―― 青野社長は、働き方改革についても国に先駆けて訴えてきましたが、経営者として社会変革を強く意識しているのでしょうか?

 青野 サイボウズはちょっと変わった会社で、企業理念が「チームワークあふれる社会を創る」。つまり、売上や利益よりも、「チームワークあふれる社会かどうか」を重んじているんです。具体的には、多様な個性が生きる社会づくりですね。働き方改革を訴えても、それで自社のソフトが直接売れるわけではありませんが、私たちにとってはまさに理念に沿った活動ですし、使命だと思っています。

 もちろん企業組織で多様な個性を生かそうと思えば、効率よくマネジメントしていく必要があります。この人は家で働いています、あの人は昼から出社します、という状況であれば、グループウェアのようなITシステムが有用になる。ただ、サイボウズのソフトに限らず、最終的にチームワークあふれる社会になっていれば、私たちはそれで構わないと考えています。

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―― 社会に対するメッセージという意味では、今後も訴えかけていきたいテーマはありますか?

 青野 いっぱいありますよ。幼児教育無償化も、まだまだ待機児童問題がある中で出てきた話で、「無償化より全入化」と言われていますね。この間、熊本市議会で赤ちゃんを連れてきた市議が批判されましたけれど、託児所などでケアされないならば、お母さんからしたら赤ちゃんを連れていくしかない。泣いたらちょっとあやしに外に出ればいいだけなのに、なぜそんなに強硬に反対するかな、と思ってしまいます。子育てをするお母さんは大変であることをみんな知っているはずなのに。

 同じような事例は、残念ながらまだまだ社会にたくさんある。一律的な社会を多様性があるものにバージョンアップしていく、これが「チームワークあふれる社会」に向けた、私たちの幹となるメッセージです。

【12/18追記】改姓にともなって発生した株式の名義変更手数料について、「数百万円」としておりましたが、正しくは「約81万円」でした。訂正いたします。

 

写真=平松市聖/文藝春秋