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「認知症と決めつけられ、牢屋のような保護室に2日間監禁」「“薬漬け”で歩行困難に」告発者が訴える《壮絶な“誤認入院”の実態》

「認知症と決めつけられ、牢屋のような保護室に2日間監禁」「“薬漬け”で歩行困難に」告発者が訴える《壮絶な“誤認入院”の実態》

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《原告は、被告(報徳会宇都宮病院の医師)らにより一方的に認知症と決めつけられ、納得いかないものの、騒ぐと注射を打たれたり何をされるかわからないという恐怖もあり、努めて平静に振舞っていた》

 2月8日、宇都宮地裁に提出された訴状にはこう記載されている。

 原告である江口實さん(80)は、2018年12月に突然職場へ上がり込んできた4人の男に、自宅から400キロ以上も離れた宇都宮病院に連れて行かれた。そこで認知症により正常な判断が下せないと診断され、「医療保護入院」という制度の下、精神科の入院病棟の保護室に入院させられたという。

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「牢屋のような保護室」に閉じ込められた2日間

「医師からは『認知症だ』『酒を飲んで暴れる』など、心当たりのない症状を指摘されました。看護師だった妻A子には精神科での勤務経験があった上、次男は現職の精神科の看護主任だったので、暴れて病院へ迷惑をかけては逆効果だとわかっていました。とにかく穏やかに振る舞おうと。しかし内心はなんでこんなことになっているんだと怒りでいっぱいでした」

インタビューを受ける江口さん ©文藝春秋

 江口さんが連れていかれた保護室とは、暴れる患者を想定した隔離用の病室だ。薬を飲まされる以外はしっかりした診察もなく、江口さんは1人、保護室で2日間を過ごした。

「手の届かない高い位置に小さな窓が付いただけの、殺風景な部屋でした。外から鍵がかけられており、自分から出ることはできない。廊下に面したところに食事を出し入れする小窓があり、毎食そこから受け取っていました。まるで牢屋のような作りでした」

 その後、精神科の入院病棟内の4人部屋に移ることになった。閉鎖病棟で自由に動ける範囲は限られていたが、部屋は自由に出入りすることができ、やっと外部と連絡がとれる環境になった。しかし突然連れてこられた江口さんは携帯電話を持っていなかった。食堂にはテレホンカード式の電話機があったが、現金やテレホンカードも手元にはない。職員に電話を貸してほしいと頼んだが拒まれ、同室の患者から借りたテレホンカードで妻に連絡をとった。

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